2の20と呼ばれていたヘッジファンドのコストが低下傾向にある。一般的にヘッジファンドは2%の運用報酬と20%の成功報酬を取る「2の20」が一般的であった。成功報酬はハイウォーターマークといわれる最高値の更新時にのみ支払うことが一般的である。その派生形として自己資本を投資しているヘッジファンドならではのキャリー・インタレストといわれる持ち分の支払いも存在する。この場合、資金がファンドから流出しないこととなる。
近年ヘッジファンド業界では、年金基金等の安定運用志向の資金が流入し、株式などとの分散投資を目当てとした、比較的穏やかな運用を求める投資家が増加している。高いリターンを求めるヘッジファンドと異なり、安定的なリターンを求めるヘッジファンドでは投資家の要望に応じて、運用報酬の低下が顕著となってきている。また近年の堅調な株式のリターンもヘッジファンドの手数料引き下げの圧力になっていると思われる。
ペンション&インベスターの調査によるとヘッジファンドの平均運用報酬は2018年末から10月の間に11%減少した。10月31日現在、平均運用報酬は年初の15%から13.3%に、平均運用報酬は同期間の1.24%から1.16%にそれぞれ引き下げられた。
2013年から2018年にかけて運用コストは安定しているようにみえるが、2019年に入りさらに下がったことが分かる。これは2018年の運用成績がユーリカヘッジ・ヘッジファンドインデックスでは-3.86%とさえなかった影響が大きいと思われる。2018年の世界株(MSCI World index)の実績は-8.20%であった。11月末までののユーリカヘッジ・ヘッジファンドインデックスは、総リターンベースで7.0%上昇している。
年 | 管理報酬 | 成功報酬 |
2006年 | 1.59% | 18.01% |
2007年 | 1.63% | 18.05% |
2008年 | 1.52% | 17.09% |
2009年 | 1.54% | 16.97% |
2010年 | 1.55% | 16.93% |
2011年 | 1.50% | 16.74% |
2012年 | 1.46% | 16.22% |
2013年 | 1.34% | 14.91% |
2014年 | 1.34% | 15.21% |
2015年 | 1.29% | 14.38% |
2016年 | 1.27% | 14.61% |
2017年 | 1.18% | 14.62% |
2018年 | 1.24% | 14.97% |
2019年10月末時点 | 1.16% | 13.27% |