ヘッジファンドの実態調査
6. ヘッジファンドが金融市場に与える影響

6-(1) 外部効果について、金融当局・学会等の見解

  • 外部効果についての金融当局・学会等の見方は様々。
  • ヘッジファンドの活動が金融市場の混乱要因になっているとの見方がある一方、ヘッジファンドは金融市場に流動性を供給し金融市場の安定化に寄与するとの見方もある。
ヘッジファンドが金融市場に与える影響(金融当局・学会等の見解)
Haigh 等
(2005,*1)
エネルギー先物市場において、ヘッジファンドは市場に流動性を供給し、ボラティリティを低下させている。
Khandani and Lo
(2007,*2)
ヘッジファンドは流動性供給・価格発見機能・リスクの移転・非伝統的リターンの発掘を通じて経済的・社会的に便益をもたらしている。
Fung and Hsieh
(2000,*3)
ヘッジファンドの投資行動がマーケットに与える影響を分析。ERM危機(1992)などでは、その影響が観察される一方、他の大きな金融市場の変動(ブラックマンデー(1987)、メキシコ通貨危機(1994~1995)、アジア通貨危機(1997))では、影響はあったとしても非常に小さかった。
Mackinsey&Co
(2007*4)
ヘッジファンドは、金融市場に流動性の供給や金融技術の発展をもたらす一方、レバレッジを活用しているためシステミックリスクの危険性を持つ。ただし、戦略が多様化している等の理由からその危険性は低下している。
FRB
(2007,*5)
ヘッジファンドには市場に流動性を供給する機能、価格発見機能、資本コストを逓減する機能があり、マーケットが効率化や金融市場の安定化に寄与する。ただし、過大なレバレッジなどが、結果的に資産価格を悪い方向に導くこともある。
ECB
(2007,*6)
ヘッジファンドが金融市場に与えるポジティブな貢献として、グローバル金融市場に効率性と流動性を与えることが一般的に認知されている。しかし、ストレス下では、金融市場の安定化に対してリスク要因となる。
日銀
(2006,*7)
ヘッジファンドは、その投資行動が一方向に偏る場合や、規模が小さくて流動性の低い市場に集中する場合には、市場価格の変動を増幅させる可能性がある。

*1 Michael S. Haigh, Jana Hranaiova and James A. Overdahl,"Price Dynamics, Price Discovery and Large Futures Trader Interactions in the Energy Complex"

*2 Amir E Kandani and Andrew W. Lo, "What Happened To The Quants In August 2007?"

*3 William Fung , David A. Hsieh "Measuring The Market Impact of Hedge Funds"

*4 The New Power Brokers: How Oil, Asia, Hedge Funds, and Private Equity Are Shaping Global Capital Markets

*5 T Cole, G Feldberg, D Lynch "Hedge Funds, credit risk transfer and financial stability"

*6 Lucas D.Papademos,"Monitoring Hedge Funds: a financial stability perspective,"

*7 日銀レビュー「ヘッジファンドの投資行動変化と金融市場への影響」

6-(2) ヘッジファンド規制に関する最新の議論の動向

  • 政府・当局の間では、1998年のLTCM危機をきっかけに、ヘッジファンド規制を巡る議論が活発になった。ヘッジファンド規制に対する姿勢は国毎に多少の温度差があるものの、国際的には、ヘッジファンドに対する直接的な規制(登録制度等)は行わずに、ヘッジファンドのカウンターパーティーである主要金融機関に対してリスク管理を徹底させる等、市場規律の強化を通じた間接規制を進める方向。
  • 市場規律の強化にあたり、如何にしてヘッジファンドの情報開示や資産価格評価、市場のストレス時における耐久性を向上させていくかが、目下の課題。
ヘッジファンド規制に関する議論を行っている主な政府・当局
­ 組織の概要 最新の報告書等
金融安定化フォーラム
FSF; Financial Stability Forum
LTCM危機を受け、1999年2月にボンにおけるG7財務省・中央銀行総裁会議にて設立が決定された政策フォーラム。各国の財務省、中央銀行、金融監督当局間の国際協力強化を通じた金融の安定と市場機能の改善、システミック・リスクの減殺を目的としている。
"Update of FSF Report on Highly Leveraged Institutions" (2007年5月)市場規律を強化するために監督当局や投資家、ヘッジファンド業界が取り組むべき諸事項を提言。サミット財務大臣会合に提出。G8首脳会議(2007年6月)も本報告書を支持。
"Progress in Implementing the Recommendations of the FSF Updatereport on Highly Leveraged Institutions" (2007年10月)上記提言の履行状況に関する報告書。
証券監督者国際機構
IOSCO; International Organizationof Securities Commissions
世界の証券監督当局や証券取引所等によって構成される国際機関。米州証券監督者協会(InteramericanAssociation of Securities Commissions)を改名し、1986年に現在の名称になった。公正かつ効率的な証券市場の育成・整備を目的とし、証券監督に関する原則・指針等の国際的なルールの策定等を行なっている。1998年のLTCM危機以降、「投資管理に関する委員会」(IOSCO理事会の下に設けられている常設専門委員会)にてヘッジファンドに係る議論を行っている。
"Principles for the Valuation of Hedge Fund Portfolios" (2007年11月)ヘッジファンド運営者が資産評価に関して留意すべき9つの原則を提言。
"Call for Views on issue that could be Addressed by IOSCO on Funds ofHedge Funds (Consultation Report)" (2007年4月)ファンド・オブ・ヘッジファンズの情報開示や投資方針等に関する規制の可能性、望ましいあり方を探るための市中協議文書。
[アメリカ] 大統領ワーキンググループ(金融市場作業部会)
PWG; President's Working Groupon Financial Market
アメリカ大統領の直属機関。財務長官を議長とし、財務省、FRB、SEC(証券取引委員会)、CFTC(商品先物取引委員会)により構成される。LTCM危機後に報告書を発表したほか、2007年9月には、当該部会の下に運用担当者と投資家が別々に参加する2種類の民間委員会を設置して、ヘッジファンドの情報開示やリスク管理の改善策の協議を進めている。
"Agreement among PWG and U.S. agency principals on principles andguidelines regarding private pools of capital" (2007年2月)投資家保護やシステミックリスクに対する考え方を発表。市場規律を強化することの重要性を唱えており、LTCM危機後に取りまとめた報告書
"Hedge Funds, Leverage, and the lessons of Long-term CapitalManagement"に沿うものとなっている。

当コンテンツの出典元「経済産業省2008年4月調査報告」

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