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どう違う?ヘッジファンドとインデックス投資

近年、インデックス投資はS&P500や世界株式、日経平均などの指数に連動する運用スタイルとして、投資家から高い支持を得ています。最新の投資信託協会の調査によると、2024年11月末時点で公募株式投資信託の純資産総額は約80兆円に達し、そのうち約60%がインデックス型投資信託で占められています。このデータは、インデックス投資が投資家にとってますます主流となりつつあることを示しています。

一方で、相場の動向に左右されず、安定したリターンを狙えるヘッジファンドも注目を集めています。2024年には、世界のトップヘッジファンドが引き続き高い運用成績を維持しており、特にブリッジウォーター・アソシエイツやルネサンス・テクノロジーズといった著名なファンドが際立った成果を上げています。

この記事では、インデックス投資とヘッジファンド投資の違いを詳しく解説し、最新データを基にその特徴とパフォーマンスを徹底的に比較します。

目次

インデックス投資の特徴

インデックス投資は、シンプルかつ効率的に資産形成を目指せる運用スタイルとして多くの投資家から支持を集めています。ここでは、インデックス投資の特徴を以下の3つに絞り、具体例を交えながら詳しく解説します。


1. 低コストで運用可能

インデックス投資は、特定の指数(例:S&P500や日経平均)に連動することを目的としており、頻繁な売買を必要としません。このため、アクティブ型ファンドやヘッジファンドと比較して運用コストが低く抑えられます。運用方針もシンプルで、指数を構成する銘柄を同じ比率で保有するだけで良いため、効率的な運用が可能です。

例えば、指数に新規採用された銘柄に対しては、インデックス型ファンドの買い需要が自動的に発生します。このため、新規採用の発表後には株価が急上昇することがあります。以下は、2019年に日経平均に採用されたオムロンの例です。

例:日経平均に採用されたオムロンの株価推移
2019年3月8日の発表翌日からわずか2日間で株価が20%上昇しました。

一方で、このような値上がりした銘柄を購入することになるため、インデックス型ファンドは短期的には高値掴みとなり、一時的な損失を被る可能性があります。この仕組みを理解しておくことが重要です。


2. 簡単に分散投資が可能

個人で複数の銘柄に分散投資を行い、それを管理するのは大変な労力が必要ですが、インデックス投資を活用すれば、手軽に世界中の資産に分散投資することが可能です。

実際、インデックス投資の歴史は1976年にバンガード社が創設した個人向けインデックスファンドから始まります。同社は「低コスト運用」という理念を追求し続け、現在では運用資産が5兆ドルを超える世界最大級の運用会社へと成長しました。この成功例からも分かるように、インデックス投資は手軽でありながら高い効果を発揮します。


3. 市場全体の動きに連動するリスク

インデックス投資は指数に連動するため、相場が下落すれば同様に基準価額も下落します。例えば、2022年のような世界的な金融市場の不安定期では、株式市場全体の値下がりをそのまま反映してしまいます。

管理の手間が少なく、大まかな値動きを指数で把握できる点は魅力的ですが、運用にアクティブな楽しさを求める方には物足りなさを感じるかもしれません。また、市場全体の回復を待つ必要があるため、短期的な利益を狙うには適していない点も留意すべきポイントです。

2024年に日経平均株価の構成銘柄として新たに採用された企業

銘柄名コード発表日適用開始日
ZOZO3092.T2024年3月4日2024年4月1日
ディスコ6146.T2024年3月4日2024年4月1日
ソシオネクスト6526.T2024年3月4日2024年4月1日
野村総合研究所4307.T2024年9月4日2024年10月1日
良品計画7453.T2024年9月4日2024年10月1日

ヘッジファンド

 同様に、ヘッジファンドについても特徴を3点ご説明します。

高コストだがリターンが狙える

 ヘッジファンドの最大の魅力は、ファンドマネジャーが銘柄選定を行い買いだけでなく売りも活用しながら暴落時にもリターンを狙える点と言っても過言ではありません。

 銘柄を入れ替え絶対収益を追求するヘッジファンドは、当然インデックス型ファンドよりコストがかかります。以前は「2-20」(固定報酬2%、成功報酬20%)が一般的と言われていましたが、ヘッジファンドリサーチの調査では、今年スタートしたヘッジファンドの平均コストは固定報酬1.1%・成功報酬17.1%でした。ファンドの特徴によっても異なりますが、コストは低下傾向にあるようです。

分散投資が可能

 ヘッジファンドとハイリスク・ハイリターンのイメージを抱く方が多いと思いますが、一概にそうとも言えません。ハーバード大学基金のポートフォリオを見てみると、33%がヘッジファンドで26%の株式よりも高い比率を占めています。安定した運用を長期間行うために有効な戦略がヘッジファンド投資と言えます。

ハーバード大学基金『Financial Report 2019』より

運用のエリートに任せることができる

 インデックス型ファンドは指数と一致する動きを目指すため、ファンドマネジャーによって運用成果が変わることは基本的にありません。一方、ヘッジファンドはファンドマネジャーの運用力がリターンの源泉になります。

 ヘッジファンドは「相場が下落したら儲かる」というポジションを取ることで下落相場でも利益を出すことができるのです。ポジションの取り方こそがファンドマネジャーの個性であり、ファンドごとに特徴がはっきり現れます。

長所・短所の比較

 ここまで簡単に見てきたインデックス投資とヘッジファンドを表で比較してみましょう。

 インデックス投資    ヘッジファンド
長所・低コスト

・わかりやすい

・分散投資が可能
・相場に関係なくリターンが狙える

・エリートに任せることができる

・分散投資が可能
短所・運用が退屈

・指数に連動する
・内容が難しい

・最低投資金額が大きい

 どちらもメリット・デメリットがありますが、一言でまとめると「インデックス投資は万人向き、ヘッジファンドは富裕層向き」といったところでしょう。

 インデックス投資はNISAなどで少額から始めることが可能で、値動きもわかりやすいため資産形成のために毎月一定額ずつ積立てで投資している方も多くいらっしゃいます。

 対してヘッジファンドは最低投資金額が10万ドルや20万ドルのものが多く、ファンドによっては100万ドル以上でないと投資できないものもあります。富裕層に特化した運用といえるでしょう。またヘッジファンドの戦略は複雑で、運用の基準など詳細は開示されません。相場に関係なくリターンを狙いたい方やプロに任せたいという方におすすめです。

 ヘッジファンド投資で特に重要なことは、インデックス投資に比べて換金性が低いことです。一般的に2~3か月は換金まで時間がかかるため、資金的に余裕がなければ投資は向きません。一方インデックス投資は換金性に優れ、1週間以内には換金化が完了すると思われます。

 では、実際のパフォーマンスはどちらが優れているのでしょうか。

ヘッジファンドとインデックス投資のパフォーマンス

 実際のパフォーマンスを比較すると、以下のようになっています。インデックス投資の代表としてS&P500と日経平均、ヘッジファンドの代表でバークレイヘッジ・インデックスと代表的な3つの指数で比較しました。

※Barclay Hedge, Investing.comから筆者作成

 2000年以降のパフォーマンスで日経平均がほぼ横ばい、S&P500が約2倍であるのに対してヘッジファンドはおよそ3倍に値上がりしています。過去20年間の長期比較では、ヘッジファンドがインデックス投資を大幅に上回っていたという結果になりました。

 インデックス型ファンドは指数と似た動きをしますが、ヘッジファンドの中には運用が上手くいかないものもあります。ヘッジファンドに投資する場合は、過去の実績を調べて自分に合うファンドを選ぶことで「良い運用」ができるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

監修:柿本 紘輝(CFP証券アナリスト協会検定会員
業界最大手の投資助言会社ヘッジファンドダイレクト株式会社が運営。
富裕層向けに投資助言契約累計1395.9億円(2023年12月末時点)。
当社の認定ファイナンシャルプランナー(CFP、国際資格)、証券アナリスト(CMA)が監修して、初心者にも分かりやすく、良質な情報をお届けしています。

ヘッジファンドダイレクト株式会社
金融商品取引業者 関東財務局(金商)第532号
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