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個人投資家の逆襲:個人がヘッジファンドを潰したゲームストップ事件とは

2021年、世界は一つの異例の金融事件を目の当たりにしました。その名も「ゲームストップ事件」。この事件は、アメリカのビデオゲーム小売り企業であるゲームストップの株価が、一部の個人投資家の行動によって急騰したというものです。その結果、多くのヘッジファンドが大損失を被り、金融市場全体が揺れ動きました。

この事件は、個人投資家とヘッジファンドとの間に新たな議論を引き起こしました。それは「個人投資家vsヘッジファンド」、つまり「小さな投資家が大きな金融機関に挑む」ことが可能か、という問いです。このうねりは最終的にはクレディ・スイス倒産にまで結びつくことになります。

目次

個人投資家がヘッジファンドに勝ったゲームストップ事件とは

ゲームストップの企業概要

ゲームストップは、アメリカ合衆国を中心にビデオゲーム、コンシューマーエレクトロニクス、および関連商品を販売する小売企業です。数年前から企業の売上は減少し、株価は低迷していました。しかし、この低迷がヘッジファンドにとってショートセリングの機会となり、一方で個人投資家にとっては投資の機会となりました。

ヘッジファンドとショートセリングの説明

ヘッジファンドは、投資家からの資金を集め、さまざまな投資戦略を用いて利益を追求する投資ファンドです。ショートセリングは、ヘッジファンドがよく利用する戦術の一つであり、投資家が株価が将来的に下落すると予想する企業の株を借りて売り、後で低価格で買い戻して利益を得る投資手法です。

ウォールストリートと個人投資家の関係

ウォールストリートの大手金融機関と個人投資家との間には、しばしば利益の対立があります。大手金融機関は、資本と情報アクセスの優位性を持っているため、市場における影響力が非常に強いです。一方、個人投資家は通常、資源が限られており、市場での影響力は比較的低いです。しかし、ゲームストップ事件は、個人投資家が集団として行動することで、市場における大きな変化をもたらす可能性を示しました。

ゲームストップ事件の発生と経過

2021年初頭、ゲームストップというビデオゲーム小売業者の株価が急騰し、一時的にその市場価値が数十億ドルに達するという珍しい現象が起こりました。この事件は、個人投資家とヘッジファンドの間での激しい対立を引き起こし、その結果として投資界全体に大きな影響を与えました。

当時のゲームストップ株の値動きを確認するとそのすごさがわかります。おおよそ2週間で株価が8倍にも上昇し、その後一気に1/8に下がり、そこから6.5倍まで上昇するというジェットコースター相場となっています。

ゲームストップ事株の長期チャート

この現象の背後には、Redditのフォーラム「WallStreetBets」に集まる個人投資家たちの活動がありました。彼らはゲームストップの株を大量に購入し、その結果、株価が急騰しました。これは「ショート・スクイーズ」と呼ばれる現象で、ショートポジションを持つ投資家(この場合、ヘッジファンド)が大損する結果となりました。

ヘッジファンドの中には、ゲームストップの株価が下落することを予想して大量のショートポジションを持っていたものもありました。しかし、Redditの個人投資家たちの行動により、株価は逆に急騰。これにより、ヘッジファンドは巨額の損失を被り、メルビン・キャピタルは破産に追い込まれました。小が大を飲み込み、個人投資家がヘッジファンドを潰した事例として記憶に残っています。

この事件は、個人投資家が集団で行動することにより、大手ヘッジファンドに対抗できる力を持つことを示しました。また、ソーシャルメディアの力と、新たな投資ツールの普及が、投資の世界をどのように変えるかを示す事例ともなりました。この事件は少額でも大量の個人投資家がヘッジファンドに勝った事件として大きく報道されました。

しかし、一方で、この事件は投資のリスクをも改めて浮き彫りにしました。株価の急騰は一時的なもので、その後ゲームストップの株価は大きく下落しました。これにより、遅れて参加した投資家たちは大きな損失を被る結果となりました。このように、投資には常にリスクが伴うことを、投資家は忘れてはなりません。

ゲームストップ事件で大損したヘッジファンド

ゲームストップ事件において、ヘッジファンドのメルビン・キャピタルは大きな損失を被りました。その理由は、彼らがゲームストップの株に対して大量のショートポジションを持っていたからです。ショートポジションとは、株価が下がることを予想して株を売る投資戦略です。しかし、Redditのフォーラム「WallStreetBets」に集まった個人投資家たちは、ゲームストップの株を大量に購入し、その結果、株価が急騰しました。これにより、メルビン・キャピタルはショートポジションを大損する結果となりました。

具体的な損失額は公表されていませんが、CNBCによれば、メルビン・キャピタルはCitadelとPoint72から約30億ドルの資金を注入されることで、その財務を立て直しました。また、ショートセラーのAndrew Leftは、ゲームストップに対するショートポジションの大部分を損失で決済したと述べています。

メルビン・キャピタルの年次騰落率を棒グラフで表示。2021年は39.1%マイナス

一部の投資家は資産を36億円にした

一方、一部の報道によればRedditのユーザーであるKeith Gill(オンラインでのユーザーネームは「DFV」)は、ゲームストップの株価上昇により700万円の資産を36億円にしたとも報道されています。

このように、ゲームストップ事件は、個人投資家とヘッジファンドの間の力関係を揺るがす出来事となりました。しかし、その一方で、この事件は投資のリスクをも改めて浮き彫りにしました。

ヘッジファンドはなぜ個人投資家に負けたのか?

ゲームストップ事件は、個人投資家がヘッジファンドに勝ったと広く認識されている象徴的な出来事であり、その理由はいくつかあります。

  1. 集団行動: Redditのr/WallStreetBetsというフォーラムに集まった個人投資家たちは、ゲームストップの株を大量に購入し、その結果、株価を急騰させました。これは、ヘッジファンドが大量にショートポジションを持っていたため、彼らに大きな損失をもたらしました。
  2. ショートスクイーズ: 個人投資家たちの行動により、ヘッジファンドはショートポジションをカバーするために株を買い戻さざるを得なくなり、これがさらなる株価の上昇を引き起こしました。これをショートスクイーズといいます。
  3. 情報の共有と透明性: ソーシャルメディアの力を借りて、個人投資家たちは情報を共有し、ヘッジファンドの戦略を公にしました。これにより、個人投資家たちはヘッジファンドに対抗するための戦略を立てることができました。
  4. デジタル化とアクセシビリティ: 投資アプリの普及により、個人投資家は以前にはなかった手段で市場に参入することができました。これにより、個人投資家はヘッジファンドと同じ市場で競争することが可能になりました。

これらの要素が組み合わさることで、個人投資家はヘッジファンドに対して一時的ながら勝利を収めることができました。しかし、この事件は投資のリスクを示すものでもあり、個人投資家が常にヘッジファンドに勝つわけではないことを理解することが重要です。

個人投資家がヘッジファンドに勝つこともある

今回の事件は、主にファンダメンタルの観点からゲームストップの業績が悪いことを前提に空売りを積み増したことにあります。ただし、ほかの投資家も空売りがたくさん積みあがっていたため、一定程度株価が上がることでストップロスのための買戻しが進むことが予想されました。このような状況にならないように、空売りのポジションが積みあがっていないかと、株式の売買量を考慮したうえでポジションを気づく必要があります。

これは個人投資家がFXでよくヘッジファンドにやられているストップロス買いを、個人投資家がヘッジファンドにやり返した事例と言われています。ただし一部Redditに書き込まれた内容に風説の流布の疑惑もあり、適切な規制の必要性も指摘されています。

個人投資家VSヘッジファンドでは無くヘッジファンドVSヘッジファンドだった!?

一方で、他のヘッジファンドや個人投資家もこの現象に参加しました。ソーシャルキャピタルのChamath Palihapitiyaは、ゲームストップの株価がさらに上昇すると予想してコールオプションを購入したとツイートしました。またアメリカのセンベスト社やマドリックキャピタルもゲームストップの株価が上昇する前に大量の株を購入し、その後の株価上昇から大きな利益を得たと報じられています。

センベスト社の旗艦ファンドは2021年は86.2%という2009年以来の高いリターンを挙げました。

センベスト社のファンド実績の棒グラフ。2021年は86.2%プラス

さらにすごいのはヘスティアキャピタルです。2021年は196%の当たり年となりました。ペンシルバニア州に拠点を置くファンドは、CIOであるカート・ウルフ氏が2021年6月以来GameStopの取締役会のメンバーを務め、企業価値の向上を目指して活動していました。そのさなかのゲームストップ事件は彼にとって良い投資の出口のタイミングを提供したと思われます。

ゲームストップ事件から得られる教訓

ゲームストップ事件は、2021年初頭に発生した金融市場の異常現象で、その影響は広範に及びました。この事件から得られる教訓は多く、それらは投資家、規制当局、そして一般の人々にとって重要な洞察を提供しています。

  1. 市場の力: ゲームストップ事件は、小規模な個人投資家が集団で行動することで、大手ヘッジファンドに対抗できる力を持つことを示しました。RedditのWallStreetBetsというコミュニティは、ゲームストップの株価を急騰させることで、ショートポジションを持つヘッジファンドを圧迫しました。
  2. リスク管理: ゲームストップ事件は、投資におけるリスク管理の重要性を再認識させました。ヘッジファンドの一部は、ゲームストップの株価が急騰するリスクを適切に評価できていませんでした。一方、個人投資家も、株価が急落した場合のリスクを理解していない可能性があります。
  3. 規制の必要性: この事件は、金融市場の規制と監視の必要性を浮き彫りにしました。市場の機能を保つためには、公正で透明な取引が必要であり、そのためには適切な規制が必要です。
  4. 情報の力とアクセス: ゲームストップ事件は、情報の力とアクセスの重要性を示しました。インターネットとソーシャルメディアのおかげで、個人投資家は以前にはなかった情報へのアクセスを持つようになりました。これにより、彼らは集団で行動し、市場に影響を与えることが可能となりました。

これらの教訓は、ゲームストップ事件がもたらした最も重要な洞察の一部です。この事件は、金融市場の動きを理解し、適切な投資戦略を立てるための重要なケーススタディとなりました。

そして事件はクレディ・スイスの倒産へ

ゲームストップの裏側で、同様に空売りが積みあがっていた銘柄もショートスクイーズで急激に株価が上昇していきました。

ファミリーオフィスのアルケゴス・キャピタルはディスカバリー(Discovery)、バイオジェン(Biogen)、インターコンチネンタルエクスチェンジ(Intercontinental Exchange)、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)、バイオンテック(BioNTech)などを空売りしていましたが、急騰したことで急激に損失を膨らませ、最終的には倒産しました。

このアルケゴスキャピタルのプライムブローカーをしていたクレディ・スイスは、アルケゴスキャピタルのロスカットが間に合わず、証拠金以上の損失をアルケゴスキャピタルから回収できませんでした。結果としてクレディ・スイスは50億ドル(5500億円)の損失を出し、のちに2023年3月にクレディ・スイスが倒産する原因の一つになりました。

つまり、個人投資家がヘッジファンドを潰した影響は、ほかの空売りの多かった銘柄の急騰につながり、結果として1兆円規模のファミリーオフィスを倒産に導き、最終的にはクレディ・スイスの倒産までつながったということです。

まとめ

ゲームストップ事件は、金融市場の動きとその影響についての深い洞察を提供しました。個人投資家とヘッジファンドの間の力のバランスが変わりつつあり、それは市場の未来についての重要な示唆を与えています。

この事件は、個人投資家が集団で行動するときの力を示しました。Redditのコミュニティが一丸となってゲームストップの株価を押し上げ、ショートポジションを持つヘッジファンドを圧迫しました。しかし、この事件はまた、投資におけるリスク管理の重要性を再認識させるものでもありました。ヘッジファンドは、ゲームストップの株価が急騰するリスクを適切に評価できていませんでした。一方、個人投資家も、株価が急落した場合のリスクを理解していない可能性があります。

さらに、この事件は金融市場の規制と監視の必要性を浮き彫りにしました。市場の機能を保つためには、公正で透明な取引が必要であり、そのためには適切な規制が必要です。また、情報の力とアクセスの重要性も示されました。インターネットとソーシャルメディアのおかげで、個人投資家は以前にはなかった情報へのアクセスを持つようになり、これにより、彼らは集団で行動し、市場に影響を与えることが可能となりました。

ゲームストップ事件は、金融市場の動きを理解し、適切な投資戦略を立てるための重要なケーススタディとなりました。この事件から得られる教訓は、今後の投資戦略を考える上での貴重な参考となるでしょう。

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この記事を書いた人

監修:柿本 紘輝(CFP証券アナリスト協会検定会員
業界最大手の投資助言会社ヘッジファンドダイレクト株式会社が運営。
富裕層向けに投資助言契約累計1395.9億円(2023年12月末時点)。
当社の認定ファイナンシャルプランナー(CFP、国際資格)、証券アナリスト(CMA)が監修して、初心者にも分かりやすく、良質な情報をお届けしています。

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金融商品取引業者 関東財務局(金商)第532号
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