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クレディスイス系のキューブリサーチ&テクノロジーズは運用資産ランキングで急成長
金融市場におけるヘッジファンドの存在感が高まる中、アルゴリズムや数理モデルなどの先端技術を駆使して運用を行う“クオンツ・ヘッジファンド”が急速に注目を集めています。ロンドンを拠点とするQube Research & Technologies(以下、Qube R&T)も、2024年時点で運用資産は200億ドルを超え、その波に乗って躍進を遂げている代表的なクオンツ系ファンドのひとつです。
本記事では、Qube R&Tの成り立ちや企業概要、同社が強みとする投資戦略・技術、そして最新のニュースや動向について詳しくご紹介します。クレディ・スイスの定量チームが独立した背景や、わずか数年で運用資産を大幅に拡大してきた経緯には、クオンツ投資の可能性を示す多くのヒントが隠されています。さらに、同社の成功要因を探ることで、これからのグローバルな投資環境やヘッジファンド業界の動向を理解する上でも示唆を得られるでしょう。
今まさに拡大を続けるQube R&Tの姿は、高度な分析技術や柔軟な組織運営がいかにパフォーマンスを左右するかを教えてくれます。ファンド運用においてクオンツ戦略が主流化していくなか、Qube R&Tが打ち出す最先端の取り組みは、投資家や金融業界関係者のみならず、金融テクノロジーの未来を考えるすべての人にとって興味深いテーマと言えるでしょう。
2.キューブリサーチ&テクノロジーズ 企業概要
2.1 設立・沿革
Qube Research & Technologies(以下、キューブリサーチ)は、2016年に設立されたクオンツ・ヘッジファンド運用会社です。その前身は、大手金融機関クレディ・スイスの定量(クオンツ)運用チームであり、銀行の自己勘定取引を制限する“Volcker規制”への対応をきっかけに独立。数理モデルやアルゴリズムを駆使した運用力に実績のあったチームがMBO(マネジメント・バイアウト)の手法で立ち上げたのがキューブリサーチです。
設立後は、クレディ・スイス時代のノウハウと独自の研究開発体制を引き継ぎ、金融市場におけるアルゴリズム・トレーディングや高度な定量分析で頭角を現しました。わずか数年で運用資産を数十億ドル規模にまで拡大するなど、クオンツ・ヘッジファンド業界で急成長を遂げています。
2.2 本社・主要拠点
本社はイギリス・ロンドンに位置し、これまで培ってきた欧州の金融インフラとの結びつきが強みです。また、欧州大陸の主要都市(パリ、ジュネーブ、チューリッヒなど)をはじめ、アジア太平洋地域にも積極的に拠点を展開しています。近年ではスイスや香港、シンガポールに加え、ムンバイや上海への進出も加速しており、グローバルな運用体制を整えつつあります。
2.3 業務内容・事業領域
キューブリサーチは、主にアルゴリズムトレーディングや量的投資戦略を駆使したヘッジファンド運用を行っています。
- 投資対象: 株式や先物、為替など流動性の高い金融商品が中心ですが、近年は債券やコモディティなど運用対象を広げる動きも見られます。
- 投資家層: 主な顧客は、機関投資家やファミリーオフィスといったプロ投資家。多様な戦略を提供することで、投資家のリスク許容度や目的に合ったソリューションを提供しています。
- グローバル運用: ロンドンをはじめとした主要市場だけでなく、アジアや北米の市場へも積極的にアクセスしており、高度なデータ分析とIT基盤を生かして24時間体制で取引を行うことが可能です。
2.4 規模と組織体制
- 運用資産残高: 創業当初は数十億ドル規模だった運用資産(AUM)は、近年の安定したリターンと追加資金の流入により拡大を続け、2024年頃には約200億ドルに達したとされています。
- 従業員数・チーム構成: 設立当初は数百名規模でしたが、近年の成長にあわせて急速に人材を拡充。クオンツリサーチャーやデータサイエンティスト、テクノロジーエンジニア、リスク管理担当など、現在では世界各地で1,000人を超えるスタッフを抱えています。
- 研究開発体制: キューブリサーチの特徴のひとつが、テクノロジードリブンな文化と潤沢なR&D投資です。高いコンピューティング能力や専門性をもつ研究者を組織し、常に新たなモデルや戦略を検証する“研究所”のような環境を備えています。この組織体制が、クオンツ・ヘッジファンド特有のスピード感ある戦略開発を支えていると言えるでしょう。
キューブリサーチは、創業して間もないながらも、グローバルな投資体制と最先端のテクノロジーを駆使して規模を拡大し続けています。次章では、同社がどのようなアルゴリズムトレーディング手法や技術を活用して成果を上げているのか、その投資戦略の中核部分に迫ります。
2.45キューブリサーチ&テクノロジーズは運用資産ランキングで13位から3位にランクアップ
2023年、キューブリサーチは、資産規模で歴史的な成長を遂げ、同社の総資産は2,000億ドル以上増加しました。この結果、キューブリサーチはHedge Fund Alertの世界最大ヘッジファンドマネージャー200社の年間ランキングで、前年の13位から3位に急上昇しました。同社の総資産は、2023年末時点で3,490億ドルに達し、前年の1,310億ドルから大幅に増加しています。
この成長の背景には、従業員の急速な増加、強力な投資リターン、資本流入の拡大、さらなる投資機会の増加がありました。特に、キューブリサーチは2022年および2023年に20%のリターンを達成し、2024年の初めまでにさらに20%のリターンを記録しています。このような高いパフォーマンスにより、同社は投資家からの信頼を獲得し、新たな資本流入を引き寄せています。
キューブリサーチは、2018年にCredit Suisseからスピンアウトして以来、米国の投資家を対象に資産を管理していますが、米国内にオフィスを持たないというユニークなビジネスモデルを展開しています。また、CEOのピエール=イヴ・モルラとCIOのローレント・レゼットのリーダーシップの下で、従業員数を80名から急速に増加させ、クオンツファンドを中心に成長を遂げています。
QRTの急成長は、ヘッジファンド業界全体に大きな影響を与えており、同社はMillennium ManagementやCitadelに次ぐ存在となっています。この成長は、業界全体においても重要な出来事であり、キューブリサーチが今後も世界のヘッジファンド業界でさらなる存在感を示すことが期待されています。
3. 主要な投資戦略と技術
3.1 投資アプローチの概要
Qube Research & Technologies(以下、キューブリサーチ)の投資戦略は、大量の市場データを基にした定量モデルと高度なアルゴリズムトレーディングを中心に展開されています。同社のクオンツリサーチャーたちは、株式・先物・為替・債券など、多様な金融商品や市場の値動きから統計的なパターンを抽出し、その情報を活用して自動で売買のタイミングやポジション量を決定します。
- ファクターモデルや統計的手法
個別銘柄やセクターごとのモメンタム、バリュー、品質などのさまざまな“ファクター(要因)”を分析対象とし、統計的優位性が期待できるタイミングで取引を実行します。こうしたファクター投資アプローチに基づくポートフォリオは、高度な分散効果やリスクコントロールを実現しながら、マーケットの短期的・中長期的な変動からアルファ(超過収益)を得ることを狙いとしています。 - マルチストラテジーの導入
中核となる定量モデルに加え、外部のストックピッカーやヘッジファンド・マネージャーへの資金配分(SMA=セパレートリー・マネージド・アカウント)を行うことで、クオンツ戦略以外の投資手法も取り入れています。これにより、市場局面によって得意・不得意がある戦略を組み合わせ、ポートフォリオ全体のリスク調整後リターンを追求しています。
3.2 技術活用のポイント
キューブリサーチの強みは、高度なデータ分析基盤と機械学習などの先端技術を組み合わせることで、多様なアプローチを柔軟に試せる点にあります。
- 大規模データとクラウドコンピューティング
各国の株式や先物の取引履歴、ニュースやSNSなどのテキスト情報、企業財務データなど、大規模なデータセットを分析の材料としています。そのため、高性能(ハイパフォーマンス)コンピューティング環境やクラウド基盤を積極的に活用して、必要に応じて計算リソースを柔軟に拡張。バックテストや新規モデル開発をスピーディーに行います。 - 機械学習・AIを活用した戦略開発
従来の統計モデルに加え、機械学習やディープラーニングを含むAI技術の活用も進んでいます。例えば、ニュースのセンチメント分析をポートフォリオ調整に反映させたり、マーケットデータをリアルタイムで解析して異常検知やリスクアラートを行ったりするなど、人間の判断だけでは捉えきれないパターンを見つけることが可能になっています。 - 高速アルゴリズムトレーディング
対象とする市場は欧州、アジア、北米など世界各地に広がっており、1日を通じて絶え間なく投資機会が存在します。Qube R&Tはハイ・スループット(大量取引)かつ低遅延(レスポンスの短い)取引システムを開発・運用することで、複数の市場・商品を同時に監視して瞬時に売買を執行できる体制を整えています。こうしたインフラ投資が、高いリターンの継続的な獲得に繋がっています。
3.3 競争優位性
- 研究開発への潤沢な投資
キューブリサーチは創業当初から研究開発を重視し、社内のクオンツリサーチャーやエンジニアチームに多額の予算を投じています。クレディ・スイス時代から蓄積されたノウハウに加え、最先端のツールやデータソースへ積極的にアクセスすることで、常に新しいモデルや戦略を試行できる点が最大の強みのひとつです。 - 人間の裁量運用とのハイブリッド
完全自動化だけでなく、ストックピッカーなどの外部マネージャーとの連携による運用を組み合わせることで、市場の変化に対して柔軟な戦略を展開できます。クオンツ戦略と裁量戦略のハイブリッド化が進むことで、リスク分散はもちろん、収益源の多様化にもつながり、単一の投資手法だけに依存しない体制が確立されています。 - グローバルなマーケットカバレッジ
欧州や北米、アジアの主要市場に加え、新興国市場にまでリサーチ網を拡充しているため、いち早く利益機会を捉えられるポジショニングを築いています。これは地理的に近い拠点を多く持ち、各地域の市場参加者や規制当局とのネットワークを活かせる点も大きいでしょう。
アルゴリズムトレーディングや機械学習、さらにはマルチマネージャー体制などを取り入れることで、Qube R&Tは多角的な運用を展開し、引き続き高いリターンを追求しています。次の章では、同社の成長を支える要因として、最新のニュースや動向を中心に探っていきます。
キューブリサーチの2024年のさらなる発展
定量的ヘッジファンドであるQube Research & Technologiesは、2024年に入りさらなる急成長を示し、主要な3つのファンドで30%以上のリターンを記録しています。同社のQube Master Fundは、7月までの年初来リターン(YTD)で推定28.5%の成果を上げており、6月には4.6%、7月には約0.9%の上昇が報告されています。また、マルチストラテジーを採用するTorus Fundは、7月までに23.8%のYTDリターンを達成しましたが、7月には0.3%の下落が見られました。それでも、6月には約4%の上昇を記録しています。さらに、Qube Prismは今年上半期に約25%の上昇を示していると伝えられています。
これらの好成績は、過去2年、2022年と2023年の連続で2桁のリターンを達成したことに続くものです。昨年、Qube Masterは約20%のリターンを記録し、2022年には25%の成長を遂げています。現在、同社は約200億ドルを運用しており、2023年末の120億ドルから大幅に増加しています。
ロンドンに本社を構えるQubeは、近年グローバルにオフィスを拡大しており、今年初めにはゴールドマン・サックスのアジア地域のヘッジファンドコンサルティング部門の責任者であるトム・ゴーマンを香港オフィスのCOOとして採用しました。また、昨年末には同じくゴールドマン出身のアネット・ツェ氏が、外部マネージャーへの投資に特化した業務を担当するため香港オフィスに参加しています。
ブルームバーグのドイツ銀やVW株に10億ドル超の空売り、ヘッジファンドのキューブという記事では空売り銘柄TOPも開示されており、注目されています。
Qube’s top 5 disclosed shorts | Size in $m |
---|---|
Volkswagen (普通株) | -236.5 |
Rheinmetall | -157.9 |
Siemens Energy | -146.2 |
Volkswagen (優先株) | -140.1 |
Deutsche Bank | -131.8 |
4. キューブリサーチ&テクノロジーズの最新動向
4.1 運用実績と成長
Qube Research & Technologies(以下、キューブリサーチ)は、創業からわずか数年で運用資産を大幅に拡大し、ヘッジファンド業界内でも注目される存在へと成長を遂げています。
- 高いリターンの継続
2022年や2023年には、主力ファンドが年率20%を上回るリターンを記録したとの報道もあり、2024年に入ってからも好調なパフォーマンスを維持していると言われます。こうした実績を背景に、投資家からの資金流入が加速し、運用資産総額(AUM)は160億ドル規模から一気に200億ドル近くまで拡大したとの見方があります。 - 市場環境への対応力
モメンタム戦略やファクター分析を主体とするキューブリサーチの定量モデルは、株式市場のボラティリティが高まる局面やトレンドが明確になった局面で特に収益機会を捉えやすいとされ、変化の激しい相場環境に適応し続けられている点が高く評価されています。
4.2 事業拡大・人材採用
- 大規模な採用強化
パフォーマンスの上昇とともに事業も拡大し、キューブリサーチはクオンツリサーチャーやエンジニア、裁量トレーダーなど幅広いポジションで人材を積極的に採用しています。ロンドン本社での採用のみならず、パリやスイス、アジア圏の拠点にも専門職を増やし、現在では1,000名を超えるスタッフが世界各地で働いていると推定されています。 - 著名トレーダーの移籍報道
米国の大手ヘッジファンドや投資銀行から有力な人材を招へいするケースが相次いでおり、2024年には米Point72のシステマティック部門責任者がQube R&Tへ移籍したことが業界の話題をさらいました。積極的な報酬制度や研究開発投資が、優秀な人材を惹きつける要因となっているようです。
4.3 新たな戦略や提携
- マルチマネージャー化の加速
従来のクオンツ戦略に加え、社外のファンドマネージャーやトレーダーとパートナーシップを結ぶ「マルチマネージャー」型の運用が拡大しつつあります。これは、外部の裁量トレーダーやストックピッカーへ資金を配分することで、クオンツ戦略と人間の分析・判断を併用し、アルファ創出の幅を広げる狙いがあります。 - 外部ファンドとの協業強化
SMA(セパレートリー・マネージド・アカウント)プラットフォームを通じて、数十名規模の外部マネージャーと連携を図り、株式のロング・ショートやイベントドリブン、グローバルマクロなど、多様な手法を取り入れることでポートフォリオ全体のリスク・リターンを最適化しています。
4.4 規制・市場環境への対応
- Volcker規制を契機とした独立
もともとの独立のきっかけになった米国のVolcker規制は、銀行の自己勘定取引を制限するものでした。キューブリサーチは、この動きを逆手に取り、銀行内の優秀なクオンツチームを核とする独立系ヘッジファンドとしてスタートした経緯があります。 - 空売りポジション開示のトラブル
2023年には、英国当局への届出データで大手金融株に対する空売りポジションが誤って大きく表示されるというトラブルが報じられました。同社は技術的な誤りであり、実際には開示上の数字ほどのポジションを保有していないと説明しています。 - 多様な相場環境への対応力
世界的な金融引き締めや利上げ局面、また高インフレ状態など、市場は常に変動を続けています。Qube R&Tは、各国の現地拠点やグローバルな研究チームを通じて、地域ごとの相場状況や規制動向を迅速にキャッチアップし、アルゴリズムや運用スタイルを柔軟に調整することで、激変するマーケット環境を乗り越えてきたと言えるでしょう。
これらの最新動向から、キューブリサーチが単なるクオンツ・ヘッジファンドにとどまらず、外部人材との連携や多彩な運用手法を組み合わせる“マルチストラテジー”を視野に入れた強化・拡張を進めていることがうかがえます。次章では、これらの成果が今後どのように展開し、さらなる成長につながるのか、今後の見通しや課題を探っていきます。
5. 今後の展望
Qube Research & Technologies(以下、キューブリサーチ)は、クオンツ・ヘッジファンドという枠組みを超え、マルチマネージャー型の運用や大規模なグローバル体制を整えることで、さらなる成長を目指しています。ここでは、同社の今後の展開や課題をいくつかの観点から探ります。
5.1 マルチストラテジーの深化
- クオンツ×裁量のシナジー
従来の定量モデルを核にしつつ、外部マネージャーと連携した裁量運用を取り入れることで、様々な市場環境に柔軟に対応できる体制を築いています。さらなる多様化を進め、ロング・ショートやイベントドリブン、グローバルマクロといった戦略を拡充することで、アルファ源の幅を一層広げる可能性が高いでしょう。 - パートナーとの連携強化
SMA(セパレートリー・マネージド・アカウント)のプラットフォームを拡大し、より多くの外部ファンドマネージャーを取り込みながら、投資家の需要に応えるストラテジーラインナップを充実させる方針が示されています。今後は地政学リスクや新興国の特殊な市場構造など、クオンツ単独ではカバーしきれない分野で裁量トレーダーの知見が活かされることが期待されます。
5.2 テクノロジーと研究開発のさらなる強化
- AI・機械学習の高度化
これまで統計モデルや基本的な機械学習を活用してきたキューブリサーチですが、今後はディープラーニングや自然言語処理(NLP)などを含むAI技術のさらなる進化が見込まれます。例えば、ニュースやSNSのセンチメント分析をより正確に行い、超短期から中長期まで多層的にポートフォリオを最適化するアプローチなどが加速度的に普及する可能性があります。 - 新興技術への投資拡大
クオンツファンドの競争は激化しており、いかに他社に先んじて新たなアルゴリズムやデータセットを取り入れるかが成否を分ける大きな鍵となります。Qube R&Tは大規模なR&D投資を行い続けており、今後もクラウドコンピューティングや量子コンピューティングの活用など、新技術への取り組みによって差別化を図る可能性があります。
5.3 グローバル展開と市場拡大
- アジア市場での存在感強化
欧米に加えて、経済成長が著しいアジアの主要市場(中国本土、香港、シンガポール、インドなど)でのプレゼンスを強化する動きが見られます。地域ごとの投資家ニーズや規制環境に適応しながら、新興市場でのクオンツ戦略や裁量戦略の融合を進めることが、運用成績と企業規模拡大の両面で大きな原動力となるでしょう。 - 新たな運用対象の模索
株式や債券、為替などの伝統的なアセットクラスにとどまらず、よりニッチな分野やオルタナティブ資産への進出も視野に入っていると推測されます。特に近年は、暗号資産やトークナイズド証券などの新興領域にもクオンツ戦略を適用する事例が増えつつあり、Qube R&Tが今後どのような形で参入するかも注目されます。
5.4 リスクと課題
- 規制強化への対応
Volcker規則や空売り規制、さらに各国の当局によるアルゴリズム取引や高頻度取引の監視強化など、ルール面の変化がクオンツファンドの運用環境に影響を及ぼす可能性は大いにあります。キューブリサーチはグローバルオフィスを持つことで規制対応力を高めていますが、引き続き各市場の法改正や監督強化に対して迅速なアップデートが求められるでしょう。 - 競合他社とのイノベーション競争
クオンツ・ヘッジファンド業界では、最大手のCitadelやTwo Sigma、Bridgewaterなど、すでに莫大な研究資金と高度な人材を備えるプレイヤーが存在します。技術力と人材への投資を継続することで差別化を図れるかが、Qube R&Tの持続的成長にとって重要な課題となるでしょう。
こうした様々な視点から、Qube R&Tはクオンツ投資のリーダー格としてさらなる飛躍の可能性を秘めています。一方で、規制や競合状況の変化に柔軟かつ迅速に対応する必要も高まるでしょう。次章では、同社の強みやリスクを総合的に整理し、これまでの全体像を振り返りながら総括していきます。
6. まとめ
Qube Research & Technologies(以下、キューブリサーチ)は、クレディ・スイスの定量運用チームを母体として独立し、わずか数年で運用資産残高を大幅に拡大してきたクオンツ・ヘッジファンドの新興勢力です。ロンドン本社を中心に、欧州大陸やアジア各国へと拠点を拡げながら、大規模データ解析やアルゴリズムトレーディングを駆使して高いリターンを実現しています。
同社が強みとするのは、以下の3点に集約されます。
- 先端技術と研究開発の徹底
- 高度なハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)やクラウドインフラ、機械学習・AIを積極的に導入し、複数の戦略の開発・検証を高速に行っています。
- 社内のクオンツリサーチャーやエンジニア、テクノロジースペシャリストに対して潤沢な投資を行い、継続的なイノベーションを生み出す体制を整えてきました。
- マルチマネージャー型戦略の展開
- クオンツ戦略のみにとどまらず、外部のストックピッカーやファンドマネージャーとも連携し、運用手法を多角化することで収益源を分散。
- 市場環境に合わせて柔軟にポートフォリオ構成を変化させることで、相場のボラティリティや地域ごとの規制リスクをうまく乗り越える仕組みを築いています。
- グローバルな視点と急成長する拠点ネットワーク
- 欧州からアジアにかけて幅広い地域に拠点を置き、各国の市場動向をリアルタイムで分析・把握する体制を構築。
- 市場流動性が高い成熟市場だけでなく、成長性のある新興市場にも積極的にアプローチし、運用対象を拡大しています。
一方で、さらなる成長を続けるためには、以下のようなリスクや課題にも対応する必要があります。
- 規制強化への素早い適応
米国や欧州を中心とした金融当局によるアルゴリズム取引や空売り規制への監視は厳しさを増しており、各国の法制度変化への迅速な対応力が不可欠です。 - 競合激化の中での差別化
他の大手クオンツ・ヘッジファンドと比べ、技術力や研究リソース面での競争が激しくなる中、独自の戦略や研究文化をどこまで深化させられるかが重要なポイントとなるでしょう。
今後は、機械学習の高度化やアジア市場へのさらなる進出、さらには暗号資産など新たなアセットクラスへの挑戦が加速することで、キューブリサーチの運用モデルはさらに多様化し、洗練されていくと予想されます。
こうした取り組みがうまく噛み合えば、キューブリサーチはクオンツ・ヘッジファンドの最前線を走り続けるだけでなく、ヘッジファンド業界全体のイノベーションを牽引する存在へと成長していく可能性を秘めているといえます。