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ヘッジファンドの空売りとは?具体例を解説
ヘッジファンドという言葉を聞いたことがあるでしょうか?また、空売りという投資戦略をご存知ですか?これらは、金融界や投資家にとって重要な要素であり、しばしば株式市場や資本市場において大きな影響を与える存在です。
ヘッジファンドは、専門的な投資ファンドであり、さまざまな金融商品や戦略を用いてリスクを最小限に抑えながら利益を追求することを目指します。一方、空売りは、株式やその他の資産を借り入れて売却し、価格が下落することを期待して後で同じ資産を買い戻す投資戦略です。
本記事では、ヘッジファンドの空売りとは何かを詳しく解説し、その具体的な事例や影響について探求していきます。ヘッジファンドの運用戦略や空売りのメカニズムを理解することで、投資の世界における興味深い側面に迫り、資産運用に関する知識を深めるお手伝いをしたいと考えています。
空売りの仕組み
手元に持っていない資産を「借りて売る」ことを空売りと言います。後から買い戻す必要があるため、価格が下がれば利益となります。
そのため、現在の価格が割高だと評価できる資産に価格が下落することを予測して空売りを行うことになります。
一般の投資信託は厳しい運用規制があるため空売りに制限がありますが、ヘッジファンドは規制に縛られない自由な運用が可能です。
投資対象の適正価格を分析し、割安な資産は買い、割高な資産は空売りすることでどんな相場でもリターンを狙うことができます。
空売りの仕組み
- 借入: 空売りを行うためには、まず資産を借り入れる必要があります。通常、証券会社や銀行から資産(例:株式)を借り入れます。
- 売却: 借り入れた資産を市場で売却します。これにより、投資家は売却価格分の現金を得ます。
- 価格下落の期待: 投資家は、売却した資産の価格が将来的に下落することを期待しています。この期待が的中すれば、資産を安い価格で買い戻すことができ、差額を利益として得ることができます。
- 買い戻し: 価格が下落したと判断されるタイミングで、投資家は同じ数量の資産を市場で買い戻します。これにより、借り入れた資産を返却できます。
- 差額利益: 資産を売却価格よりも安い価格で買い戻すことで、差額が利益となります。しかし、価格が上昇した場合は損失が発生することもあります。
空売りのメリット
価格が下落する資産でもリターンを上げることができるという点が空売りの最大のメリットです。一般の投資信託は買い持ちが基本のポジションになるため、どんな銘柄に投資していようとコロナショックやリーマンショックのようなあらゆる資産が暴落するような局面では下落を免れることができません。
空売りを行うことができるヘッジファンドであれば、相場に関係なく絶対リターンを追求することが可能になります。
- ヘッジ効果: 空売りは、既存の投資ポートフォリオをヘッジするために使用されることがあります。市場全体や特定の資産クラスの下落に対する保護手段として役立ちます。
- 利益の追求: 資産価格の下落を予想し、それに応じて利益を追求することができます。市場の不景気や特定の企業の問題に対して利益を上げる機会を提供します。
空売りのリスク
メリットがある分、リスクも当然存在します。
空売りのリスクは「損失が無限大になる可能性がある」という点です。買持ちであれば損失は株価の範囲に限定されますが、空売りは株価が上昇すると損失が発生するため、損失の範囲は無限大になります。
株価が1,000円の株式に投資した場合の損失可能性は、下表のようになります。
買持ちでは株価がゼロになっても損失は1,000円に収まりますが、空売りを行っていた場合、株価が10,000円に上昇したら9,000円の損失になってしまいます。
あくまでも理論上の仮定にはなりますが、このようなリスクがある点は注意が必要です。
- 無制限の損失: 資産価格が上昇すると、損失は理論上無制限に膨れ上がる可能性があります。売却価格よりも高い価格で資産を買い戻す必要があるためです。
- 返却要求: 借り入れた資産はいつでも返却する必要があります。返却が求められた場合、市場価格が高い場合に損失が発生する可能性があります。
- ショートスクイズ: 一部の投資家が集中的に資産を買い戻すことで価格が急騰する「ショートスクイズ」が発生する可能性があります。これにより、空売りポジションを保持する投資家は損失を被ることがあります。
ゲームストップ株騒動
直近ではゲームストップ株を対象に空売りを行っていたヘッジファンドを標的に個人投資家が一斉に買いを入れ、株価が上昇したことでヘッジファンドが大きな損失を被ったというニュースもありました。実際に損失となってしまったファンドはごくわずかですが、空売りを積極的に行うファンドの場合はこういった騒動に巻き込まれる可能性もあります。
参考記事:
次に、ヘッジファンドが行う空売りを過去の実際の相場から解説します。
アジア通貨危機
1997年にアジアの新興国通貨が暴落したアジア通貨危機は金融不安を引き起こしアジア経済の重荷となりましたが、空売りを行っていたヘッジファンドは巨額の利益を得ました。
当時の新興国は為替レートを米ドルに連動させるドルペッグ制という仕組みを取っていました。米国のドル高政策に連動して新興国通貨も上昇していきましたが、タイの実体経済は経常赤字が懸念されるような状態でした。
経済状態に反して通貨高が続いたことで、過大評価されているのではないかと考える機関投資家が空売りを始めました。
ヘッジファンドがこぞって空売りを行っていた通貨はタイのバーツでした。
それ以前にタイに大きく投資していた投資銀行などの機関投資家の資金引き揚げと相まって、タイ中央銀行はバーツの為替を維持することができなくなりました。
アジア通貨危機で破綻したヘッジファンド
新興国通貨を空売りすることでリターンを得たヘッジファンドがいる一方、通貨下落は一時的なものと考え、新興国通貨の買いを実行し巨額の損失を出したことで破綻したヘッジファンドも存在します。
LTCMは1994年から運用を開始し順調なリターンを積み重ねていましたが、運用残高が拡大したことで高いレバレッジをかけた運用にシフトしており、アジア通貨危機によって大幅なマイナスを記録したことから資金流出が起き運用を継続することが出来ず、破綻という結果になってしまいました。
リーマンショック
2008年のリーマンショック時にも、空売りで利益を上げたヘッジファンドが多く存在していました。一例として下記のような値動きとなっています。
その一方で、ハイリスク・ハイリターンのヘッジファンドの一部は巨額の損失を出し、破綻するという結果となってしまいました。
当時のヘッジファンドは流動性の低い投資対象(不動産、未上場株式など)であっても現金化までの期限を短く設定しているものが多く、リーマンショックによる大量の売却注文を処理できないといったような問題点が発生しました。
リーマンショック以降、ヘッジファンドは運用方法やリスク等、透明性を高めることで投資家が安心して投資できるような体制づくりを行ってきています。
リーマンショック以降のヘッジファンド業界の変化については、ゆかしメディアの記事「ヘッジファンド業界の変化2020」が参考になります。
まとめ
下落相場でも空売りを行うことでリターンを追求できる点がヘッジファンドの魅力ですが、実際には高リターンを追求するあまりリスクの高すぎる運用を行っているファンドも存在します。
ヘッジファンドに投資する際は運用リスクを把握し、自分の考えに近いヘッジファンドを選ぶことで良い結果が得られやすいのではないでしょうか。