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海外送金手続き:三菱UFJ外国送金Webサポート+(プラス)の手続法とは
海外で投資を行おうとしたとき最初のハードルになるのが、「どうやってお金を海外へ送るの?」という素朴な疑問です。画面に英語表記の項目が並ぶと、どこに何を入力すればいいのか戸惑ってしまいますし、為替レートや手数料のしくみもピンとこないかもしれません。
この記事では、三菱UFJ銀行のオンラインサービス「外国送金 Webサポート+」を使って、個人の方が海外へ資金を送る手順を、やさしく解説します。画面をステップごとに追いながら、
- 送金フォームの入力ポイント
- 為替リスクを抑えるコツ
- 手数料を選ぶときの考え方
- 銀行から追加書類を求められにくくする準備
――といった、つまずきやすい場面を中心にお伝えします。難しい専門用語はできるだけ避け、必要なときはかみ砕いてご説明しますので、「投資は好きだけど海外送金は初めて」という方でも安心して読んでいただけるはずです。
なお、本記事は海外送金の流れのイメージを理解するために作成しており、三菱UFJ銀行のオンラインサービス「外国送金 Webサポート+」の解説そのものや法律・税金のアドバイスを目的としたものではありません。実際に手続きする際は、最新の銀行案内や送金指示と照らし合わせてご確認ください。それでは早速、送金フォームの最初の画面から見ていきましょう。
Step 1 ご依頼人情報
- ご依頼人の区分
- 個人口座から送る場合は必ず「個人」を選択。法人扱いにすると追加書類が必須。
- ご依頼人の英文氏名
- ローマ字、
TARO YAMADA
の形式(半角大文字・名→姓)。
- ローマ字、
- 引落口座
- 円口座/外貨口座を選択。円→外貨送金は当日レート適用。1,000万円超なら事前に為替予約を検討。
- 科目・店番・口座番号
- 普通 or 当座、3桁店番+7桁口座番号。ゼロ埋め忘れに注意。
→※日本では店番と口座番号が分かれていますが、海外では「店番3桁-7桁口座番号」とハイフンを挟んで続けて記載することが多いです。
- 普通 or 当座、3桁店番+7桁口座番号。ゼロ埋め忘れに注意。
- ご依頼人の英文住所
- 70文字以内で
- 都道府県
Tokyo-to
- 市区町村
Minato-ku
- 番地
1-23-4
など──の順。建物名・部屋番号は任意だが集合住宅なら記載推奨。
- 都道府県
- 70文字以内で
- マイナンバー
- 「当行へ届出済」を選択。未登録なら送金前に登録が必要(送金ページでの登録不可)。
- 弊行宛ご連絡事項(任意)
- 「海外の会社型投資信託への投資、海外不動産への投資」など送金の目的を書くと銀行のアンチマネーロンダリングのチェックが円滑。
- 真のご依頼人/送金代行者
- 自己資金を自分で送る場合はスイッチ Off。On にすると追加確認が入る。
ポイント
入力内容は「口座名義・住所・マイナンバー」とローマ字が突合できることが最重要。桁数不足や全角入力があると次画面に進めないので、半角英数字で再入力を。
Step 2 送金種類と金額
- 送金種類
- 海外ファンド向けなら必ず 「海外向電信送金」 を選択。国内・本支店間は誤選択防止のためスキップ。
- お受取人取引銀行の国名
- ドロップダウンからファンド指定のカストディ国を選択。
例:アイルランド籍ファンド でも受取銀行が米国なら United states
- 国名を誤ると中継銀行が確定せず、着金遅延やリターンの原因に。
- ドロップダウンからファンド指定のカストディ国を選択。
- 送金通貨
- サブスクリプション案内で指定された通貨をそのまま選ぶ。
- USD:最も一般的。
- EUR/GBP など:該当ファンドのクラス通貨を確認。
- 円口座から外貨を送る場合、この時点ではまだ為替レートは確定していない点に注意。
- サブスクリプション案内で指定された通貨をそのまま選ぶ。
- 送金金額
- 半角数字/小数点2桁以内。ゼロ埋め不要。
- ファンド側から「NET OF FEE(手数料差引後金額)」と指定されることが多いので、
管理報酬や販売手数料ではなく、純投資金額そのもの を入力する。
- 円貨相当額で指定する
- JPYで資金計上し、外貨額を銀行レート換算に任せたいときのみオン。
- ただしサブスクリプションフォームは外貨金額を要求するため、通常はオフにして外貨額を直接入力する方がズレがない。
- 先物為替予約を使用する
- 事前にトレジャリー部門とレートをロックした場合のみ利用可。
- 個人投資家が単発送金で使うケースは稀。オフのままで問題なし。
- 支払銀行手数料
- ご依頼人負担(OUR):ファンド側から指定されている場合はこちら。着金額が不足すると追加送金が必要になる。
- 送金受取人負担(BEN):ファンドが「SHA/BEN 可」と明記しているときだけ選択。
- ご依頼人負担を選んでも中継銀行が追加費用を請求することがある。昔は余裕を持って+20〜30 USD上乗せすることもあったが最近はその必要は減ってきている。
ワンポイント
送金金額を確定させる前に、ファンドの Subscription Instruction(Application Form) で
- 通貨
- 手数料負担区分(OUR / SHA / BEN)
- 締切日(Cut-off)
を再チェック。入力とズレがあると、「不足額の追加入金」や「返金扱い」 となり、投資タイミングを逸する恐れがあります。
Step 3 お受取人情報
- 区分
- ファンドのカストディ口座・管理会社口座へ送る場合は 「法人その他」 を選択。
- 個人投資家が(自分以外の)海外の個人口座へ送るケースは稀なので誤選択に注意。
- 英文名称
- 送金指図書に記載の受取人名を 大文字で完全一致 させる。
例)XXX FUND PLC
やCITIBANK N.A. LDN BRH CLIENTS A/C
- 略称・不要なカンマ/ピリオドを削ると SWIFT で名寄せできず返金の原因になる。
- 送金指図書に記載の受取人名を 大文字で完全一致 させる。
- LEI/お受取人自身の BIC(任意)
- ファンドや管理会社が LEI を公開していれば入力。空欄でも送金自体は可能。
- BIC は 銀行コード なので、受取人が銀行でない限りブランクのままで構わない。
- 識別 ID(任意)
- ファンド側が IBAN 以外の内部口座番号や「Share Class Code」などを指示していれば転記。
- 未指定なら入力不要。
- 英文住所
- 国名 …
United States
/Ireland
などプルダウン選択。 - Street …
40 Bank St
のように番地→通り名の順。 - City/State … LOS ANGELES, CA など大文字推奨(ここは必須)。
- 郵便番号やビル名は任意だが、管理会社ビルが複数棟ある場合は誤配送防止のため入力。
- 行頭・行末のスペースや「#」「,」の多用は SWIFT で削除されやすいので最小限に。
- 国名 …
- 電話番号(任意)
- 国番号から入力。管理会社の代表番号で可。頭の “0” は除外(例:+353 1 ### ####)。
- Ref.No./ご連絡事項(任意)
- Beneficiary Account / IBANを記載することがある。
- ファンドが指定するサブスクリプション番号や投資家 ID をここに記載すると着金照合が速いことがある。
- 例)
SUB REF: ABC12345
- 受取人連絡欄は空欄で問題ないが、利用する場合は半角英数で140文字以内。
- 真のお受取人
- カストディ銀行名義口座へ送金し、裏でファンドが実質受益者になる場合にのみ「指定する」をオン。
例)真のお受取人:XXX FUND PLC
/ 部屋番号以下は同上。 - 通常のファンド名義口座ならオフにしておく。
- カストディ銀行名義口座へ送金し、裏でファンドが実質受益者になる場合にのみ「指定する」をオン。
チェックポイント
- 名称・住所は SWIFT 伝送でそのまま利用される ため、指図書の表記をそのまま入力するのが重要。
- City と State(または County)が必須。抜けると国外銀行が住所不備として拒否する可能性があります。
- 送金指示書で “Complete address required” と指示されている場合、ビル名・階・部屋番号まで埋めておくと AML 照会の手戻りが減る。
Step 4 お受取人情報
Step 4 お受取人取引銀行情報 ― コンパクト版
- 口座番号(IBAN/Account No.)
海外ファンドでは、ほぼ必ず IBAN(国際銀行口座番号)や CASH A/C と明記された内部口座番号が指定されます。指図書の文字列をそのまま入力し、桁抜け・空白追加・改行 を入れないよう注意してください。国によっては先頭に 3〜4 桁の支店コードが組み込まれているため、勝手に削除すると着金エラーの原因になります。 - SWIFT BIC
受取銀行を一意に識別する 8 〜 11 文字の英大文字コードです。- 例)
BOTKJPJTXXX
(8 文字の場合はブランチコード “XXX” が省略可) - 誤入力すると自動ルーティングが外れ、中継銀行が手作業で照合するため遅延・追加手数料が発生 します。
- 不明な場合はファンド側に必ず確認し、ネット検索で済ませないこと。
- 例)
- 英文銀行名
SWIFT BIC に紐づく正式名称を 大文字で完全一致 させます。XYZ BANK
→XYZ BANK, N.A.
のような末尾略号も省かないでください。BIC を入力後、検索ボタンで自動表示される場合は編集せず採用します。 - 各国決済システム別金融機関コード(任意)
米国 ABA/Fedwire(9 桁)、英国 SORT CODE(6 桁)などを指します。- BIC が 11 桁なら通常は不要。
- ファンドが “WIRE ABA: 026009593” のように指定している場合のみ転記。
- BIC+ABA の二重指定 はルーティングが分岐することがあるため、指図書に従い優先順位を確認。
- 英文所在地
Street、City、State/County、Postal Code の順で入力。- City と Country は必須。BIC が都市別に枝分かれする銀行(米系・独系など)では特に重要。
- 行頭・行末スペースや余分なカンマは SWIFT 送信時に削除されるので最小限に抑える。
- 経由銀行(Correspondent/Intermediary Bank)
ファンド指図書に “INTERMEDIARY: BANK OF NEW YORK MELLON, BNYMUS33” などの指定があれば、そのまま入力。- 指定がなければ空欄で問題ありません。
- 自分の判断で大手米銀を入れると、かえって手数料が二重にかかることがあります。
ポイント
- 口座番号・BIC・銀行名の 3点セットが完全整合 しているかが STP(Straight-Through Processing)可否の分かれ目です。
- Subscription Instruction を印刷して机上に置き、文字単位で照合 してから「次へ」をクリックすると入力ミスを防げます。
例外対応 ― 共通口座(ハウス口座)+サブ口座指定のケース
海外ファンドによっては、受取銀行(SWIFT field 57)にハウス口座を置き、その下層にファンド固有 IBAN/サブ口座(SWIFT field 59)をぶら下げる 二階建て構造を採っていることがあります。三菱UFJ〈外国送金 Webサポート+〉では、下記のようにフィールドを「階層どおり」に分けて入力すると、MT103 がそのままストレート・スルー(STP)しやすくなります。
SWIFT 電文 | 指図書サンプル | Web サポート+での入力欄 | 入力例 |
---|---|---|---|
56A (Intermediary) | HSBC Bank U.S.A., New York MRMD US 33/ABA 021001088 | Step4 経由銀行英文本名・SWIFT | HSBC BANK USA NA MRMDUS33 |
57A (Beneficiary Bank) | 受け取り信託銀行名など | Step4 SWIFT BIC 口座番号 英文銀行名 | (上記のとおり) |
59 (Beneficiary) | ファンド名 | Step 3 お受取人英文名→ お受取人宛 Ref.No. → IBAN ナンバーを記載 |
ポイントは「57=ハウス口座」「59=サブ口座」の分離です。口座番号欄に両方を連結すると MT103 が読めず着金が遅延します。IBAN は半角・スペースなしで入力し、Ref.No. 先頭に “IBAN ” を付けておくと受取銀行側で自動突合しやすくなります。
①中継銀行INTERMEDIARY FINANCIAL INSTITUTION (SWIFT field 56)と②受け取り銀行BENEFICIARY FINANCIAL INSTITUTION (SWIFT field 57)と③受取人BENEFICIARY (SWIFT field 59)の3つの口座情報がある場合、③はStep3で入力し、①と②はStep4で入力することになります。
Step 5 ご送金目的
- 受取人区分の選択
- 海外ファンドやカストディ銀行への投資資金は 「法人向け」 を選択します。
個人名義口座あてに送金するわけではないため、誤って「個人向け」を選ぶと銀行からヒアリングが入り処理が遅れます。
- 海外ファンドやカストディ銀行への投資資金は 「法人向け」 を選択します。
- ご送金目的(プルダウン)
- 送金先ファンドが「株式(share)を発行する法人形態」であれば 株式取得/EQUITY PURCHASE MONEY、
- それ以外――たとえば リミテッド・パートナーシップ(LP 持分)やユニット・トラスト、債券型ノート などの場合は 有価証券取得(株式以外)/NON-EQUITY PURCHASE MONEY を選択します。
- 外為法上の許可等
- 投資ファンドへの出資は外国為替及び外国貿易法(外為法)で原則自由化されています。
- 30 百万円超の送金 でも BOJ(日本銀行)報告は “銀行側が一括処理” するため、通常は 「不要」 のままで問題ありません。
- ただし次のいずれかに該当する場合は 「要」 を選び、事前に財務局へ事後報告・許可取得が必要になることがあります。
- 制裁国(北朝鮮・イランなど)や OFAC 制裁対象者が関与するファンド
- 未公開株/不動産ストラクチャーなど出資の対価が“資本取引”に該当する場合
- 軍事転用可能技術(Dual-Use)を有する企業への直接投資 など
- 許可を取った場合は、通知書に記載の「許可番号」と「許可日」を続けて入力します。
ワンポイント
- 送金目的は AML/CFT チェックで最初に参照される項目 です。投資家側で要約した英文を入力しておくと、受取銀行でも文面がそのまま伝わり、不足額や照合遅延を避けられます。
- 外為法の許可が不要でも、翌年の国外財産調書や所得税申告 に備えて送金控え(MT103 詳細)を必ず PDF で保存しておきましょう。
- Step 5 を終えると確認画面に遷移します。入力漏れは赤枠で警告されるので、とくに区分と目的が一致しているか を再確認してから「送信」へ進んでください。
今回の三菱UFJの事前入力は、マネーロンダリング対策からすると非常に有効であると感じました。以前は店に行って書類に入力する形式が一般的でしたが、送金先のチェックなどをリアルタイムで行うことは難しく、送金依頼人へのヒアリングが長くなる傾向がありましたが、送金先の法人情報などを事前にチェックできる分、非常に良いと思いました。ただ以前の神形式よりかなり細かく、個人が記載するときは少し戸惑う気もしました。