ヘッジファンドが保有する株式銘柄2023

ヘッジファンドは、高いリターンを追求するための多様な投資戦略を採用するプライベートな投資ファンドです。これらのファンドは、市場の動向を先読みし、最も魅力的な投資機会を見つけ出すために、専門家のチームが日々研究を行っています。その結果、ヘッジファンドが大量に保有する株式銘柄は、市場での注目度が高く、多くの投資家にとっての参考指標となっています。このセクションでは、2023年現在、ヘッジファンドが最も多く保有するトップ5の株式銘柄に焦点を当て、それぞれの銘柄の最近の動向や市場での評価を紹介します。

ヘッジファンドが最も多く保有する株式銘柄トップ５

1位: マイクロソフト ：保有ヘッジファンド数: 289

ヘッジファンドが保有する銘柄第1位は、マイクロソフトです。マイクロソフトは、世界をリードするテクノロジー企業の一つであり、オペレーティングシステム、クラウドサービス、ビジネスソリューションなど、多岐にわたる製品とサービスを提供しています。2023年7月、Wedbush Securitiesのアナリスト、Dan Ivesはマイクロソフトに対して楽観的な見解を示し、Outperformの評価を維持。特に、Activision Blizzardの買収はマイクロソフトの消費者フランチャイズを大きく強化すると強調しました。この動きは、テクノロジー企業によるさらなる買収の道を開く可能性があるとIvesは研究ノートで述べています。また、Bill & Melinda Gates Foundation Trustは、約113億ドル相当の3920万株を保有しており、同社の主要なステークホルダーとなっています。ヘッジファンドとしては私募リート系で有名なベイラード社や老舗ヘッジファンドのツヴァイク ディメンナ パートナーズなどが投資しています。

2位: アマゾン ：保有ヘッジファンド数: 243

ヘッジファンドが保有する銘柄第2位は、アマゾンは、オンラインショッピングの巨人として知られるだけでなく、クラウドコンピューティングやデジタルストリーミングなど、多岐にわたるビジネスを展開しています。2023年6月26日、アマゾンはオハイオ州でのAWSデータセンターの運営を拡大するため、約78億ドルの投資を計画していることを発表しました。この投資は、データセンターサイトでの直接の雇用機会の創出だけでなく、AWS施設の建設、運営、保守に関与する地元のビジネスで数千の追加の仕事を生み出すことが期待されています。Harris Associatesは、約230億ドル相当の2280万株を保有しており、同社の主要なステークホルダーとなっています。主な投資しているヘッジファンドとして1999 年に設立のブルジョン・キャピタルやクリストファー・’クリス’・ホーンの弟子、オスカー・ハッティンクによって 2017 年に設立されたヘッジファンドである、ブルードライブグローバルイノベーターズファンドなどがいます。

3位: メタプラットフォームズ ：保有ヘッジファンド数: 220

ヘッジファンドが保有する銘柄第3位は、フェースブックやInstagramを運営するメタプラットフォームズです。メタプラットフォームズは、ソーシャルネットワーキングのリーダーとしての地位を維持しつつ、仮想現実や拡張現実などの新しい技術領域への進出を進めています。Evercore ISIのアナリスト、Mark Mahaneyによると、メタプラットフォームズのテキストアプリ「Threads」は、Twitterに対抗するためのもので、急速な初期成長率を示しています。Threadsは、ローンチ時にすぐに約1億ユーザーを獲得し、現在のTwitterの約2億4000万の日常的なアクティブユーザーと競合するための堅実なスタート地点を提供しています。Philippe LaffontのCoatue Managementは、約17億ドル相当の800万株を保有しており、同社の主要なステークホルダーとなっています。主な投資ヘッジファンドとして2015年創業のクオンツ系ヘッジファンドのアンティポデス・パートナーズやニューヨークを拠点とする投資顧問会社のリバーパークアドバイザーズなどが投資しています。フィリップ・ラフォン氏のコートエ・マネジメントは同社の著名な株主であり、17億ドル相当の800万株を保有しています。

4位: アルファベット ：保有ヘッジファンド数: 204

アルファベット・インク（NASDAQ:GOOGL）は、株式による議決権があるクラスA株と議決権のないクラスC株を持つことが主な違いです。204のヘッジファンドがアルファベット・インク（NASDAQ:GOOGL）を保有しており、前四半期は209ファンドでした。

マノール・キャピタル・マネジメントは、2023年第2四半期の投資家向け書簡で、アルファベット・インク（NASDAQ:GOOGL）について以下のようにコメントしています：

「2023年に入ってから、S&P500は7％上昇し、ナスダックは11％上昇しています。テクノロジー企業は立ち直り、多くの大手ハイテク企業は好調です。特に、時価総額1兆ドル以上のハイテク企業の中で、アップルが35％、マイクロソフトが33％、アマゾンが39％、アルファベット・インク（NASDAQ:GOOGL）が40％というパフォーマンスを記録しています。ハイテク企業の成長がS&P500全体のリターンの大部分を占めています。

今注目すべきは、アクセスしやすいデジタルウォレットの分野です。アップルペイ、サムスンペイ、グーグルペイ、およびPayPalが人気のあるデジタルウォレットとして挙げられます。ペイパルが62％、アップルペイが41％、グーグルペイが32％のアメリカの消費者による利用率を持っています。

アップルペイは便利で安全なデジタルウォレットとして、私たちの愛用している選択肢です。米国の小売店の90％以上で利用でき、幅広く普及しています。サムスンペイとグーグルペイもユーザーに満足されているようです。新規参入者は既存のプレーヤーに対して遅れているとの意見もありますが、現在のところ、アップルペイ、サムスンペイ、グーグルペイの3社がデジタルウォレットの分野で優位性を持っています。」

5位: ビザ ：保有ヘッジファンド数: 173

ビザは世界的な決済テクノロジー企業で、クラウドベースの決済とバンキング・プラットフォームを提供しています。彼らは6月28日に、Pismo社という企業を現金10億ドルで買収する契約を締結しました。この買収により、ビザは金融機関やフィンテッククライアントに対するバンキングおよび発行体の処理能力を強化し、新興決済システムであるPixなどのサポートと接続を促進する計画です。取引の完了は年末までを予定しています。

F13のデータによると173のヘッジファンドがビザ・インク（NYSE：V）に対して強気の立場を取っていました。TCIファンド・マネジメントのクリス・ホーン氏が最大の出資者であり、1,930万株（43億ドル相当）を保有しています。

マノール・キャピタル・マネジメントは、2023年第2四半期の投資家向け書簡で、ビザ・インク（NYSE：V）に対して次のようにコメントしました：

「私たちはフィンテック投資家であり、フィンテックを “確立されたプロセスを改善するためにテクノロジーを利用するもの “と定義しています。伝統的な銀行には投資せず、金融危機の際に資金を管理した経験から、不透明でバランスシートを重視する金融機関が倒産や債務超過に陥るリスクを学びました。私たちは、トランザクション・ベースのビジネスを好みます。Visa Inc.（NYSE：V）やMastercardのように、スワイプやトランザクションごとに収益と利益を生み出し、与信枠に関連する信用感度やリスクはない、成長している決済業界が完璧な例です。」

ヘッジファンドに人気の銘柄番外編

少々上位銘柄はGAFAMを中心と下時価総額が大きい銘柄になってしまったので、もう少しほかの銘柄も紹介します。

9位セールスフォース：保有ヘッジファンド数: 136

セールスフォース、顧客関係管理に特化したアメリカのテクノロジー企業です。2023年第1四半期末時点で、136のヘッジファンドがセールスフォース・インクに強気だったのに対し、それ以前の四半期では117のファンドが強気でした。2023年6月29日に、次の5年間で英国事業に40億ドルを投資する計画を発表しました。ハリス・アソシエイツは同社の筆頭株主で、770万株（15億ドル相当）を保有している。

イサカ USグロースストラテジーファンドは、2023年第1四半期の投資家向けレターでセールスフォースについて次のようにコメントしています:「セールスフォース・インク（NYSE:CRM）は、ピュアプレイ・クラウド・ソフトウェアの最大手であり、顧客関係管理アプリケーションでトップシェアを誇り、同社の他のクラウド（マーケティング、サービス、プラットフォーム、アナリティクス、インテグレーション、コマース）でもトップ5のシェアを占めている。1）顧客のハードドライブやサーバーに直接ロードされる従来の企業向けソフトウェアとは対照的に、ソフトウェアは集中管理されたサーバーにホストされ、インターネットを介して配信される。株価の堅調な相対パフォーマンスは、F4Q23に発表された好調な業績に続くもので、トップライン、ボトムラインともにストリートの予想を軽々と上回った。この好業績に加え、経営陣はアクティビスト投資家が求めていた数々の取り組み、特に大型M&A取引の停止と営業利益率重視の方針を発表した。」

14位ユナイテッドヘルス ：保有ヘッジファンド数: 116

ユナイテッドヘルスは、米国で多角的なヘルスケア会社として運営しています。2023年6月26日に、ルイジアナ州を拠点とするヘルスケアプロバイダーであるAmedisys, Inc.は、以前の合併契約を終了し、新しい合併契約をユナイテッドヘルスと締結しました。

L1 キャピタルインターナショナルファンドは、2023年第1四半期の投資家向けレターでUnitedHealth Groupについて次のようにコメントしています:「ユナイテッド・ヘルスの株価も、規制当局の発表がごくわずかに不利な内容であったため、緩やかな圧力を受けていた。私たちは、市場がこれらの発表に過剰に反応したと考えており、株価はここ数週間で力強く回復しました。」

22位サービスナウ (NYSE:NOW)：ヘッジファンド保有者数：96

サービスナウ・インク（NYSE:NOW）は、サービスの定義、整理、合理化、自動化を支援するクラウド・コンピューティング・ソリューションを世界中で提供しています。サービスナウ・インク（NYSE:NOW）は5月16日、最大15億ドルの初の自社株買いプログラムを開始する計画を発表しました。同社の取締役会はこのプログラムを承認し、その主な目的は将来の従業員株式の付与と従業員株式購入プログラムから生じる潜在的な希薄化の管理であると述べました。

13Fの第1四半期データベースによると、96のヘッジファンドがServiceNow, Inc. ラジブ・ジェインのGQGパートナーズは同社最大の出資者で、150万株（7億1380万ドル相当）を保有しています。

レイクハウス・グローバル・グロース・ファンドは、2023年4月の投資家向け書簡で、サービスナウについて以下のコメントを発表した：

「厳しいマクロ環境にもかかわらず、米国のソフトウェア会社サービスナウ・インク（NYSE:NOW）は有機的成長と収益性の健全な組み合わせで回復力を証明した。サブスクリプション収入は前年同期比24%増（恒常為替レートベースでは27%増）の20億ドル、営業利益は前年同期比26%増の5億5200万ドルでした。中核となる営業指標も同様に好調で、残存履行義務は前年比24%増、更新率は98%と堅調に推移した。サービスナウの更新率は、クラス最高であるだけでなく、通常97％から99％の範囲内で、驚くほど安定していることが特筆される。これは、このプラットフォームのミッション・クリティカルな性質を物語るものであり、長期的な年金価値の重要な原動力となっている。全体として、ServiceNowは、規模に応じた一貫した成長、堅固なフリーキャッシュフローの創出、大規模な対応可能市場の組み合わせにより、魅力的なビジネスチャンスとなっており、最も質の高いソフトウェアビジネスの1つであると引き続き確信しています。」

まとめ

ヘッジファンドが注目する上記の銘柄は、それぞれがその分野でのリーダーとしての地位を確立している企業です。これらの企業は、革新的な技術やサービスを提供し続けることで、市場での競争力を維持しています。ヘッジファンドがこれらの銘柄を保有する背景には、堅実な業績、強固なビジネスモデル、将来の成長潜在力が考慮されていると考えられます。今後、テクノロジーの進化や市場の変動に対応して、これらの企業がどのような戦略を採用するのか、投資家として注目していくことが重要です。

出典：２０２３年6月末時点の13Fデータ、ブルームバーグ、ユーリカヘッジ、インサイダーモンキーを参照