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クレディ・スイスはなぜ破綻したのか?当時クレディスイスの株価の下落が続き、世界を混乱に貶めました。当時の破綻までの10日間を当時の臨場感を残したまま振り返ります。3月10日のシリコンバレーバンクの倒産を受け、世界的に金融機関への不安が高まる中、3月15日にクレディ・スイスの筆頭株主であるサウジ・ナショナル・バンク(SNB)が、追加の出資は行わないと表明したことを受け、同社の株価は急落。年初来で3月16日時点で30%のマイナス、直近1年で70%のマイナスとなっています。また3月20日UBSによる買収も報道も行われました。なぜスイスの名門プライベートバンクとして有名なクレディ・スイスの株価はここまで下落したのでしょうか?

クレディ・スイスの資本が傷ついた大きな要因として3つがあげられます。グリーンシルキャピタルの破綻と、アルケゴスキャピタルの破綻、および急激な顧客の流出です。
グリーンシル・キャピタルは、企業が売掛金を売却することで資金を調達できるようにするファクタリングの一種であるサプライチェーン・ファイナンスの専門企業でした。同社は、顧客が発行する債券のリスクを引き受けることで利益を得ていましたが、その債券の信用リスクを適切に評価しなかったことが破綻の一因となりました。
また、グリーンシル・キャピタルは、複数の投資家から資金を集め、それをもとに新たな資金調達取引を行うというビジネスモデルを採用していました。しかし、同社が投資家に提供していた資金調達商品が、実は過大なリスクを含んでいたことが判明し、投資家が同社への投資を中止したことが破綻の一因となりました。
クレディ・スイスは、2017年以降、同社に4つのファンドを立ち上げ、合計100億ドルの顧客資金を投資していた。この損失は当初2億ドル程度と報告されていたが、後に30億ドル(3500億円)にも上ることが明らかになった。この損失はクレディ・スイスの決算に大きな影響を与え、同行の株価にも悪影響を及ぼしました。
ファクタリング(factoring)とは、企業が発行した売掛債権(未回収の請求書)を、金融機関などの第三者(ファクター)に買い取ってもらい、即金での資金調達を行うことを指します。
ファクタリングにより、企業は請求書の回収期間を待つことなく、現金を手に入れることができる。また、売掛債権をファクターに売却することで、債権回収にかかる手間やコストを削減することもできます。
ファクタリングは、企業が資金調達を必要とする場合や、資金繰りが悪化している場合、請求書の支払いが遅れることが予想される場合などに利用されます。また、ファクターが信用力の高い顧客である場合、債権回収のリスクを軽減することができます。
例えばテレホンショッピングなどで手数料無料の分割払いで商品を売った場合、現金で商品を買い付けること価格を下げている場合は、分割で受け取る割賦債権を、第三者に売却し、早めに現金を受け取って、安く商品を買うなどを行います。
2021年初頭に話題となったファミリーオフィスのアルケゴスキャピタルの倒産劇もクレディ・スイスに大きな損害を与えました。その額は50億ドル(5500億円)ともいわれています。こちらに関しては短期に大量の売買を行うアルケゴスキャピタルに対して、クレディ・スイスが過大な信用を供与しリスク管理を怠っていたことに対して、巨額な損失が発生することになりました。
これがきっかけとなり、ヘッジファンドなどに信用を供与するプライムブローカレッジ業務を閉鎖することになり、収益源の一つを失うこととなりました。
アルケゴスキャピタルについては詳しくはアルケゴスキャピタルとファミリーオフィス規制に詳細に記載しています。

最後にクレディスイスを追い込んだのは、2022年の10月~12月までのソーシャルメディアによる騒動と、3月に入ってからのシリコンバレーバンクの倒産に伴う急激な顧客の資金流出でした。
クレディ・スイスの発表によると2022年11月にはウェルスマネジメント事業で約840億スイスフラン(約12兆円)が流出し、第4四半期に合計で1105億フラン(約16兆円)が流出したと述べています。
2022年の流出騒動を受けてスイスの金融大手、クレディ・スイス・グループが2022年12月期の最終損益が72億9300万スイスフラン(約1兆円)の赤字であることを発表しました。経営不安による顧客の預入資産の流出が収益を下げました。投資銀行部門も悪化し、構造改革費用も計上。同社は経営再建を進め、Mクレイン&カンパニーの投資銀行部門を買収し、CSファーストボストンと統合する予定。構造改革費用は23〜24年にも計約26億スイスフランを計上する見込みです。
2023年のシリコンバレーの倒産の後、再び資金流出が起きているとみられ、最終的にはこの資金流出がクレディ・スイスの体力を奪ったと考えられます。
クレディ・スイスの中核的自己資本比率は昨年末時点で14.1%と発表しています。銀行の自己資本を分子とし、リスクの大きさを分母とする比率(自己資本比率)が国際的に活動する銀行には8%以上であることを求められていますが、クレディ・スイスはそれを大幅に上回る14%を保持しており、通常であれば問題はないと思われます。
しかし直近の世界的な利上げにより、債券については評価損が発生しているものもあります。満期まで保有であれば、評価は時価にする必要はなくとも、多くの顧客の資金流出により、債券を時価で売却しなければならない事態になれば、状況は変化します。
今後も顧客による資金流出が続き、未実現損失が実現損に合わっていくことがあれば、いよいよ事業運営は困難になります。このようなことにならないよう、スイスの中央銀行がクレジットラインを7兆円設定したと報道されています。これは短期的な資金の需給を穏やかにするため、クレディ・スイスに対して一時的な貸出枠を設定したということです。
中央銀行は、最後の貸し手としての機能も持っています。これは、金融機関が資金調達に困難を抱えた場合に、中央銀行が最後の手段として融資を行うことを意味します。
具体的には、中央銀行は金融市場の流動性を確保するために、短期的な資金調達を支援することがあります。これには、貸出窓口を通じた直接融資や、市場における流動性供給を通じた間接的な融資などが含まれます。
最後の貸し手としての機能は、金融市場における信頼性を高め、流動性リスクを緩和することが期待されます。しかし、この機能は必要に応じて使用されるべきであり、常に利用可能であることは、金融機関がリスクを取りすぎる可能性を高めることになります。そのため、中央銀行は慎重な判断を行い、最後の貸し手としての機能を適切にバランスさせることが必要です。
リーマンショックは、2008年にアメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが倒産したことをきっかけに発生した世界的な金融危機を指します。
当時のアメリカでは、低金利政策や規制緩和などの背景から、サブプライムローンと呼ばれる信用リスクの高い住宅ローンが急増しました。さらに、住宅価格の上昇が一時的に急速に進み、多くの借り手がローンを返済できなくなり、不良債権が急増したため、住宅ローン市場が崩壊しました。
一方今回の金利上昇ではまだ不良債権が急増しているという段階にはありません。一部の長期債などの評価損が膨らんでいるとの報道はありますが、満期保有目的の場合は、将来のキャッシュフローには影響はないため、急激な解約などで、強制的に売却させられる環境にならなければ問題ないと思われます。
2023年3月20日にUBSによるクレディ・スイス買収の報道が行われました。これはスイス中央銀行の後押しで行われたものと考えられ、同時にクレディ・スイスのAT1債の100%減損も発表されました。このような短期間でデューデリジェンスが完了したのは、ここ数年クレディ・スイスはUBSとの合併報道が相次いたことと無関係ではないと思われます。
・クレディ・スイス、事業再編検討 UBSと合併も視野(Reuters・2021年6月25日)
・UBSとクレディスイスが合併模索か、スイスメディア報道(日経新聞・2020年9月15日)
AT1債(Additional Tier 1)、CoCo債(Contingent Convertible Bonds)、劣後債(Subordinated Bonds)は、銀行や金融機関が資本を調達する際に発行する異なるタイプの債券です。それぞれの特徴を以下に説明します。
今後は2兆円にも上るといわれるクレディ・スイスのAT1債の減損について問題が拡大すると考えられます。一般的に債券は株式よりも保全順位が高いためです。しかし、AT1債については、減損の条項のトリガーが契約書に記載されており、状況により株式よりも順位が劣後する可能性が記載されていたと考えられます。AT1債の減損がUBSによるクレディ・スイスの救済合併の条件である可能性が高いことから、減損が無ければ倒産によりどちらにしろ損失が出ていたとの観測もあります。
クレディ・スイスのAT1債はUBSなどのプライベートバンクも顧客に多く売却していたと考えられ、日本の投資家にも一定程度影響があると考えられます。
こうした個別銘柄のリスクは投資信託など分散投資することで、大分抑えられます。個別株や個別債券については、直接投資よりはファンドを通じて分散投資することが必要な時代になってきているのかもしれません
2021年末時点のデータを比較します。UBSはクレディ・スイスに対して売り上げで約7倍、純利益や時価総額で約2倍の規模の銀行と考えてよいようです。
| 指標 | クレディスイス | UBS |
|---|---|---|
| 売上高(百万スイスフラン) | 229,427 | 146,242 |
| 純利益(百万スイスフラン) | 4,366 | 8,164 |
| 預かり残高(百万スイスフラン) | 1,376,323 | 1,544,364 |
| 時価総額(百万スイスフラン) | 37,410 | 65,328 |
クレディスイスは、1856年に創設されました。同行は、スイスを中心に、さまざまな国際的なプレゼンスを持っていました。一方 UBSは、1862年に設立されましたが、そのルーツは1741年にまでさかのぼります。UBSは、スイス国内外で幅広い金融サービスを提供しており、世界中に拠点を持っています。
UBSは、クレディ・スイスに比べて投資銀行業務に依存度が低く、ウェルスマネジメント事業に強みを持っています。そのため、リーマンショック以降の規制強化や市場縮小の影響を比較的受けにくく、安定した業績を維持できたと言えます。一方クレディ・スイスは、UBSに比べて流動性リスクが高く、運用資産が長期化しています。これは、クレディ・スイスが投資銀行業務に依存していることや、不動産関連投資に多額の資金を投じていたことが原因と考えられます。

2023年3月、スイス第2の銀行であるクレディスイスが経営危機に陥りました。その原因は、以下の3つが挙げられます。
ロシアのウクライナ侵攻により、世界の金融市場は混乱しました。クレディスイスは、ロシアに投資した顧客に損失が発生したことで、巨額の損失を計上しました。また、中国の不動産市場の不振も、クレディスイスの経営に打撃を与えました。クレディスイスは、中国の不動産開発会社への融資を拡大していましたが、これらの企業の財務状況が悪化したことで、貸し倒れリスクが高まりました。さらに、クレディスイスの内部統制の不備も、経営危機の一因となりました。同行は、リスク管理やコンプライアンスに関する問題を抱えており、これらが経営の混乱を招きました。
クレディスイスの経営危機が深刻化する中、スイス政府は、同行の破綻を回避するため、UBSによる買収を支援することを決定しました。UBSは、スイス最大の銀行であり、クレディスイスの資産や顧客基盤を吸収することで、経営の安定化を図ることができると考えられました。
UBSとクレディスイスは、2023年3月19日、買収合意を発表しました。買収総額は30億スイスフラン(約3,800億円)で、これはクレディスイスの当時の時価総額の半分以下でした。買収は、2023年6月12日に完了しました。
クレディスイスの買収は、スイスの金融業界にとって大きな出来事でした。スイス政府による支援がなければ、クレディスイスは破綻していた可能性があり、スイスの金融システムにも大きな影響を与えていたと考えられます。また、UBSの買収により、スイスの金融業界は、UBSを筆頭とする巨大銀行による寡占化が進むものと見られます。
クレディスイスの買収は、今後の金融業界にも大きな影響を与える可能性があります。金融危機への備えとして、銀行の統合や合併が進む可能性があるからです。また、金融規制の強化も求められるでしょう


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