イーフィナンシャルキャリアの報道によると、現在ヘッジファンド業界へのトップの人材の流入は大手のマルチストラテジー戦略に集中しているとのことだ。
マルチストラテジー戦略をとる大手ヘッジファンドは今年の成績は順調に推移している。11月までの一年間で、シタデル・インベストメントは16.7%、Point72は13.3%、バリアズニーアセットマネジメントは9.1%、ミレニアム・マネジメントは7.6%のリターンを生み出した。
採用状況としてはミレニアム・マネジメントのロンドンでの採用は特に印象的だ。2019年の1月から10月の間に、ロンドンでは32人のアナリストとポートフォリオマネージャーを追加し、職員を20%増加した。さらにモルガン・スタンレーのデルタワン・トレーディング部門の元マネージング・ディレクターであるカリム・セリエ氏や、ゴールドマン・サックスの元エコノミストであるピエール・バーネット氏が新たに採用された。シタデルもパブロ・サラームやマイケル・グラハムをゴールドマンサックスからリクルートしている。8月だけで6人が銀行やライバルファンドからロンドンに参加した。
ヘッドハンターのシュワブ氏によると、この二つのファンドは、従来の管理コスト2%と成功報酬20%のヘッジファンド手数料体系だけでなく、いわゆる「パススルー経費モデル 」の恩恵を受けている。パス・スルー・経費モデルでは、投資家はファンドの運用に関連する費用 (スタッフの給与やボーナスなど) が自動的に請求される。 その結果、より多くの金額を人材獲得へ支払うことができるとシュワブ氏は言う。
パススルー型の経費モデルを採用しているヘッジファンドは、シタデルとミレニアムだけではない。業界関係者によると、Point72やバリアズニーのような他の強力な企業も同様のことを行っているという。投資家に経費を負担させることで、ファンドはスタッフに十分な報酬を支払うことができるだけでなく、より多くの資金をポートフォリオ・マネージャーに割り当て、より優れた技術やインフラを提供できると主張している。