ヘッジファンドのカストディアンとは
ヘッジファンドがオペレーションリスクを下げるために必要なファンドの構成として、カストディアン(倒産隔離)、監査法人(第三者のチェック)、プライムブローカー(取引執行)、アドミニストレーター(事務管理会社)がいる。その中でもカストディアン(信託銀行)は、投資家に代わってファンドが保有する有価証券、預金等の資産の保管業務や、ファンドへの申込み・解約に際しての資金の授受を行う資産管理会社的な機能を担っている。
これは運用会社の資産と運用資金を分別して管理することで、資産を保全するための重要な役割を担っている。近年はプライム・ブローカーがカストディアン機能を提供することも増えてきている。またヘッジファンド側もカストディアンを分散する傾向が増えてきたため、グローバル展開するカストディアンだけでなく、各国で活動するサブ・カストディアンも多く存在している。またカストディアンを利用することにより、カストディアンを通じて間接的に証券を保有することで、投資家の名前が直接的に全面に出てこないという効果もある。
日本を代表するカストディアンとは
日本ではマスタートラスト信託銀行、日本トラスティ・サービス、資産管理サービス信託銀行の親会社等が有名である。多くの企業の大株主に日本トラスティ・サービス等が名を連ねる理由は、投資家の代わりにカストディアンが買い付けに行くためである。例えば日本を代表する企業であるトヨタの筆頭株主は日本トラスティ・サービスで13.07%(2019年3月末時点)である。そして第3位の大株主にマスタートラスト信託銀行が6.34%保有しており、資産管理サービス信託銀行は8位で2%の株式を保有している。
日本トラスティ・サービス、資産管理サービス信託銀行は2021年を目途に今後合併し、日本カストディ銀行に名称が変わる予定である。
◆ ヘッジファンドのカストディアンランキング
1 | BNY Mellon |
2 | J.P. Morgan |
3 | Citigroup |
4 | Bank of America |
5 | Morgan Stanley |
6 | Goldman Sachs |
7 | State Street |
8 | Credit Suisse |
9 | Barclays |
10 | UBS |
11 | Deutsche Bank |
12 | Northern Trust |
13 | Wells Fargo |
14 | HSBC |
15 | BNP Paribas |
16 | Societe Generale |
17 | Scotiabank |
18 | Fidelity Investments |
19 | Nomura |
20 | Standard Chartered Bank |
ヘッジファンド アラートがSEC提出資料より作成 2019年3月末
ランキングのトップにはアドミニストレーターでも上位に来ていたBNYメロンが輝いた。BNYメロンはプライムブローカーでも15位にランクインしており、ヘッジファンド関連の総合サービスを提供しているといえそうだ。続いて、J.Pモルガン、シティバンクと大手金融機関がランクインしている。上位にアメリカ系の金融機関が続いた後にUBSやドイチェバンク、BNPパリバなどの欧州系がそのあとを追っている。19位に何とかアジアの野村の名前が見て取れる。