大手のマルチストラテジー戦略のヘッジファンドのシタデルの創始者であるケン・グリフィン氏は、現在の市場は金融市場の最大のリスクの一つであるインフレリスクに対する対策があまりに希薄であると経済クラブのスピーチで述べた。
以前同氏が調べたときは、FRBが利上げを開始する数か月前の時点でも、FRB自体がインフレの兆候を見つけられていなかったと述べた。これは最も情報に通じた政策立案者でさえ、インフレの兆候を直前まで見つけることができないことを意味しているという。インフレの兆候が直前まで分からないのであれば、市場関係者はより事前の段階から、インフレ率の急上昇に対する対策をするべきだと述べている。
また新型コロナウイルスについては世界の金融市場で見られる最も具体的な短期的なリスクと述べている。
ウイルスの世界的な拡大のの封じ込めは「世界が行うべき課題」であると指摘し、中国が米国との農産品輸入の貿易協定の義務を果たす能力を削ぐ可能性もあることを明らかにした。中国は今後二年間で米国製品の輸入を2000億ドル増やすことに合意したが、コロナウイルスは需要を減退させているという。
320億ドルを管理するシタデルは昨年はマルチストラテジー戦略でトップクラスの実績を残した。シタデルの旗艦ファンドであるウェリントン・ファンドは2019年に19.4%上昇した。また株式とクオンツアプローチを用いたタクティカル・トレーディングファンドも20%上昇したという。