ヘッジファンドの最大手の一社であるAQRは1月末に「2020主要資産クラスに関する資本市場の推定」を公表した。これは主要な資産クラスの中期(5〜10年)の期待収益率の推定値を出している。
この中でヘッジファンドのAQRは多くの主要資産クラスの期待リターンの低下を予想している。例えば、株60%、債券40%の伝統的ポートフォリオは今後10年の期待リターンが2.4%と1900年からの長期的な平均リターンである5%と比較すると、半減するだろうと述べている。
レポートによると、この予想は「積極的な戦術的配置」対応を保証するものではないが、2020年1月の時点で、各資産の期待リターンの推定値は驚くほど低いという。今後10年間で、多くの投資家が過去の好調な業績に基づいたリターン目標の達成に苦労する可能性があることを示唆している。予想キャッシュ・リターンの低さが明確な原因の1つであり、リスクの高いすべての投資の予想総リターンを押し下げている。そのため投資家には目的と期待を再評価するよう求めている。
レポートに記載された中期の主な期待リターンは以下の通り
米株の期待リターン | 4.00% |
米国以外の先進国株の期待リターン | 4.70% |
新興国株式 | 5.10% |
米国10年国債 | 0% |
米国外10年国債 | -0.60% |
米国ハイイールドクレジット | 1.90% |
コモディティ | 2.70% |
株式の中では新興国株が5.1%と一番期待値が高く、その後米国外先進国株4.7%、米国株は4.0%と続いている。
これはJPモルガンアセットマネジメントが公表している10年から15年というより長期の予想である、「2020 長期資本市場推計」で公表されている、米国株5.60%、欧州株7.70%、新興国株9.20%と期待リターンの並び順は同様で、米国株の期待リターンが一番低い。しかしその水準は一段と低くなっていることには注目したい。