欧州ヘッジファンド規制とヘッジファンドの信頼性

ヘッジファンドニュース
2019年12月19日
ヘッジファンドニュース

リーマンショック後のヘッジファンド規制の流れ

2008年の金融危機後、欧州ではギリシャショックなどを含む欧州ソブリン危機などが発生、金融インフラシステムにダメージが残った。2010年に米国ではボルカールールを含む金融規制改革法(ドット・フランク法)が成立し、EUでも2011年6月にAIFMDと略される「オルタナティブ投資ファンド運用者規制法(指令)」が発令された。

これは欧州金融システムにおける市場の不安定化とシステミック・リスクの増大を防止するための機動的な予防的行動を支援するため、EU圏の所管当局間の監督慣行を強化することと、新たな預託基準の導入による投資家保護の改善、新たな投資家開示規則や所管当局への報告義務化による透明性の向上を目的に制定された。

規制の内容は主に
A)   許認可制の導入
B)   事業継続の要件
C)   情報の開示
D)   勧誘・販売に関する制限
となっている。

欧州のヘッジファンド規制

AIFMDはヘッジファンドやプライベートエクイティの他、不動産ファンドや商品ファンド、インフラストラクチャーファンドなどが含まれる。より規制の厳しいUCITに適合せいているものを除けば、1億ユーロ未満の小規模運用業者以外はほとんど対象となるといっていいだろう。

B)の事業継続の要件は、ヘッジファンドへの信頼性を補完するものだ。

①流動性リスク、オペレーショナルリスク、カウンターパーティリスクなどのリスクマネジメントの開示
②利益相反の管理と開示
③ポートフォリオ資産の公正な評価
④顧客預かり資産の管理の安全性に関する内部管理体制の確立
等が規定されている。

またC)の情報の開示では、投資家に対しては投資対象資産や、レバレッジの活用の有無、解約に関する方針などの明示やカストディアンや事務管理会社、リスクマネジメントに関する手続き、手数料体系などを開示することを求めている。また各ファンドについて毎年の運用報告書の作成を義務付けられ、投資家と監督当局が確認できるようにすることが定められた。これらとは別途、当局に対しては主要な取引対象や主なエクスポージャー、リスクの集中度具合など、定期的に報告する義務が生じている。

現在AIFMDの中でヘッジファンドはアイルランド籍が多く、プライベートエクイティや不動産ファンドはルクセンブルク籍が多い状況だ。スイスもヘッジファンドなどが多い国ではあるが、EUには参加しておらず、独自の規制で動いている。

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