11月の流入ランキングを見ると、レバレッジ型投資信託・ヘッジファンド型投資信託が人気なのが特徴と言えそうだ。
モーニングスター社の公表した投資信託流入ランキングによると、11月の投資信託ランキングはピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配)が655億円の流入と1位に入った。ピクテ・グローバル・インカム株式は新興国を含む世界の高配当利回りの公益株に投資するため、景気後退期に強いといわれるディフェンシブ銘柄に投資することが売れている要因か。基準価格は3000円程度で毎月40円の配当を行っており、分配金利回りは16%と高い分配利回りも人気の要因といえそうだ。毎月分配型投資信託は元本を取り崩すなど投資効率を悪化させるとの批判が強いなか、運用残高は9273億円と、インデックスファンドを除く契約型投資信託としては久しぶりの1兆円ファンドも目前だ。
2位と3位はグローバル3倍3分法ファンドが1年決算型(544億円)と隔月分配型(324億円)と人気となっている。伝統的な株、債券、不動産の3つへ分散投資する3分法投資を、3倍のレバレッジを使い、債券を重視しながらも、株や不動産への投資することにより高いリターンを目指している。2019年は米国の利下げによる債券価格の上昇によって基準価格が上昇し市場タイミングにも乗り好成績も人気の要因といえそうだ。伝統的(3分法)×革新性(レバレッジ)という目新しさは、投資割合が固定であることのわかりやすさから人気が継続しそうだ。債券の割合が多い分、金利の上昇には気を付けたい。
4位にはマンAHLスマート・レバレッジ戦略ファンドが323億円を集めた。マン社は9位のダブル・ブレイン(152億円)でも運用を担当しており、リキッドオルタナティブ(ヘッジファンド型投資信託)の先駆者として存在感を示している。マンAHLスマート・レバレッジ戦略ファンドはマン社が20年間のヘッジファンド運用で培った世界各国の株価指数先物、債券先物等にレバレッジを使って投資を行ない、独自の数量モデルで資産配分を変更していく、ダイナミックアセットアロケーション型のレバレッジ型投資信託である。空売りなどは行わないため追加型投信/内外/資産複合となっている。一方9位のダブル・ブレインは追加型投信 / 内外 / 資産複合 / 特殊型(絶対収益追求型)となっており、空売りを含めた運用に特徴がありそうだ。ダブル・ブレイン主な投資先であるマン・インスティテューショナル・ポートフォリオ・チタニウムは海外のファンド一覧には無く、今回のダブル・ブレイン用に作られているようだ。債券の価格が下落した時はブレーキがかかる(ポジションを解消する)タイプということで、一部のラップ口座で採用されている、下落リスクを減少させる運用といえそうだ。残念ながらマン社の得意とする下落相場で積極的にリターンを目指すダイバーシファイド戦略 (トレンド戦略) 15%ほどと割合が低く、下げ相場でのリターンを目指すまでは難しいと思われる。
東京海上・円資産バランスファンド(毎月) は219億円を集めて5位となった。債券に70%投資し、残りはリスクを一定にするように株、不動産、短期金融商品の割合をダイナミックに変更していく戦略である。運用残高は7,026 億円とピクテ・グローバル・インカム株式とともに長期的に資産が流入している。ランキング全体を通してみると、今後の景気後退を予想して、比較的ディフェンシブな債券の割合の多い投資信託かヘッジファンド型投資信託が売れていると言えそうだ。
◆2019年11月投資信託資金流入ランキング
1位 655億円 ピクテ投信 ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配)
2位 544億円 日興アセット グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)
3位 324億円 日興アセット グローバル3倍3分法ファンド(隔月分配型)
4位 323億円 大和投信 マンAHLスマート・レバレッジ戦略ファンド
5位 219億円 東京海上アセット 東京海上・円資産バランスファンド(毎月)
6位 200億円 大和投信 ダイワ・US-REIT(毎月決算)B為替H無
7位 188億円 日興アセット グローバル・プロスペクティブ・ファンド
8位 168億円 東京海上アセット 東京海上・円資産バランスファンド(年1回)
9位 152億円 野村アセット ダブル・ブレイン
10位 148億円 三菱UFJ国際 米国株式シグナルチェンジ戦略ファンド(H無)
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