レバレッジドバイアウト

レバレッジドバイアウトとは、ファンドが用いる企業買収(M&A)の手段の一つ。被買収企業の将来収益を担保に金融機関に融資をしてもらう手法のことを言う。

LBOと表現される。MBOと同時に行われることが多く、単純な投資目的で企業を短期売買するわけではない。経営陣が関連会社や自らの会社の株式を買う際に、借入金を利用して株式を取得する。この手法を用いる理由は、買収元は少額の資金で事業や企業を買収できるためである。

買収先の企業の将来の収益を担保に借り入れる点で、被買収会社の将来収益を適切に把握することができなければ難しい手法となる。そのため事業内容を理解している経営陣が企業を買収するときに使われることが多い。

LBOのプロセス

1. 対象企業の選定: LBOを実施するためには、安定したキャッシュフロー、堅牢な市場位置、そして適度な成長潜在力を持つ企業が選ばれます。これらの特徴が、将来的に借入金の返済と企業価値の増加を可能にします。
2. 資金調達: LBOの取引では、買収資金の大部分を借入金で賄います。通常、資金の70%以上が借入れによって調達され、残りの部分はエクイティ（自己資本）でカバーされます。
3. 買収実施: 資金が調達された後、プライベートエクイティファームは対象企業を買収し、しばしば経営陣を新たに配置して運営効率の改善や成長戦略の実施を図ります。
4. 経営の改善と企業価値の増大: LBOの成功は、買収後の経営改善に依存します。効率化、コスト削減、事業の再編等を通じて、企業の収益性を向上させ、企業価値を高めます。
5. エグジット戦略: 一定期間後、プライベートエクイティファームは改善された企業を売却（エグジット）し、投資に対するリターンを実現します。売却方法としては、株式公開（IPO）、他の企業への売却、別のプライベートエクイティファームへの売却などがあります。

LBOのリスクと批判

• 高い負債負担: LBOでは、企業が大量の借入金を背負うため、経済環境の変化や業績の低迷が直接的な財務危機につながるリスクがあります。
• 短期的焦点: 一部の批判者は、LBOが利益を最大化するために短期間でコストを削減し、長期的な企業価値よりも短期的なリターンを優先する傾向にあると指摘します。
• 従業員への影響: コスト削減の一環として従業員の解雇や福利厚生の削減が行われることがあり、社内外からの反発が生じることもあります。

レバレッジドバイアウトは、その効率的な資本構成と潜在的な高収益性で注目される戦略ですが、適切なリスク管理と倫理的な経営が求められる複雑な金融技術です。